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BOOTHとCreemaとメルカリShopsをどう使い分けるか — 手数料と客層で選ぶ

ゲンキ

BOOTHとCreemaとメルカリShopsをどう使い分けるか — 手数料と客層で選ぶ

出品先を決めようとして各社の料金ページを開くと、5.6%、10.67%、10%、3.6%+40円といった数字が並ぶ。3Dプリント 販売 プラットフォームの比較がここで止まるのは、この数字がそのままでは比較できないからだ。ある社は送料を含めた総額に率をかけ、ある社は商品価格だけにかける。固定額を上乗せする社もあれば、月額を取る代わりに率を下げる社もある。同じ「10%」でも、何の10%かが違えば手取りは変わる。本記事では国内の主要な出品先を一枚の表に並べ直し、実際の価格帯で手数料がいくらになるかを計算する。数値はすべて2026年8月時点の各社公式ページから取得したもので、改定が頻繁な領域であることを先に断っておく。

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手数料は「率」で比べると間違える

料率だけを見て安い順に並べると、判断を誤る。理由は3つある。

第一に、率をかける対象が社によって違う。商品価格だけにかかる場合と、送料やラッピング料まで含めた決済総額にかかる場合では、同じ料率でも手数料額が変わる。送料1,000円の商品を2,000円で売るとき、前者は2,000円の、後者は3,000円の何%かを取られる。

第二に、固定額の有無で価格帯ごとの有利不利が逆転する。1件につき数十円を上乗せする方式は、単価が上がるほど負担率が下がる。逆に低単価の商品では、率よりも固定額のほうが効いてくる。500円の小物を売る人と5,000円の実用品を売る人とでは、選ぶべき場所が変わりうるということだ。

第三に、決済手数料が別立てかどうかが見えにくい。販売手数料だけを見て安いと判断しても、決済手数料が別に引かれる設計なら合計は上がる。逆に「手数料10%」と一見高く見えても、それ以外に何も引かれないなら実質は近づく。

以上を踏まえて、比較は「率」ではなく「この価格で売ったとき、1個あたり何円引かれるか」で行うのが正しい。3Dプリントで何を売るかを先に決める(2026-08-17 公開)で整理した通り、原価の計算は形態が決まってからでないと始まらないが、出品先が決まらなければ手数料という原価要素も埋まらない。

主要な出品先を一枚に並べる

国内で個人が使える主要な出品先を、公式表記に基づいて整理する。

出品先販売・サービス手数料決済手数料月額振込手数料
BOOTH(商品価格+送料)× 5.6% + 45円手数料に内包0円200円/300円(3万円で分岐)
Creema決済総額 × 税込10.67%手数料に内包0円200円/275円(3万円で分岐)
minne注文総額 × 税込10.659%手数料に内包0円220円
メルカリShops売上金 × 10%かからない0円200円
BASE スタンダード3%3.6% + 40円0円250円(+2万円未満は事務手数料500円)
BASE グロース0円2.9%16,580円同上
STORES フリー決済手数料に内包5.5%〜0円通常は翌月末振込
STORES スタンダード決済手数料に内包3.6%〜3,300円同上

いくつか補足が要る。BOOTH の料率は「自宅から発送」の場合で、ダウンロード商品と倉庫からの発送は商品価格だけに5.6%+45円がかかる。ただし倉庫発送には別途の倉庫発送手数料が発生する。minne は minne PLUS の会員になると料率が優遇され、公式は最大10.45%までとしている。BASE グロースの月額は年払いにしたときの1ヶ月あたりで、月払いを選ぶと19,980円になる。STORES スタンダードの3,300円も年間契約時の月額で、月額契約なら3,960円だ。決済手段によって率が上がる社もあり、BASE は PayPal・Amazon Pay・PayPay で1%加算、STORES も同種の決済手段では率が上がる。

500円・2,000円・5,000円で手数料を試算する

表の数字を、実際の価格に当てはめる。送料は価格に含めた(送料無料で出品した)前提で、公式の料率から計算した参考値である。端数処理を公式に定めているのは BOOTH(小数点以下切り上げ)だけなので、他社は概算として読んでほしい。

販売価格BOOTHCreemaminneメルカリShopsBASE スタンダードSTORES フリー
500円73円約53円約53円50円73円約28円
2,000円157円約213円約213円200円172円110円
5,000円325円約534円約533円500円370円275円

この表が示すものは明快だ。500円では BOOTH と BASE が最も高く、5,000円では最も安い部類に入る。順位が価格帯で入れ替わっている。理由は固定額で、BOOTH の45円は500円の商品にとって価格の9%、BASE の40円も8%に相当する重さだが、5,000円ならどちらも1%に満たない。逆に純粋な料率制の Creema・minne・メルカリShops は、価格が上がっても負担率が変わらないため、高単価帯で不利になる。

3Dプリント品でこれが効いてくる場面は具体的だ。ケーブルクリップやミニチュアのような数百円の小物を数多く売るなら料率制が有利で、実用的な治具や大型の造形物のように単価が上がるほど固定額型が効く。単価帯を決めてから出品先を選ぶという順序になる。

なお STORES フリーが全価格帯で最安に見えるが、これは決済手数料だけを比較しているためだ。STORES と BASE は集客を自前で行う必要がある側の設計であり、後述する通り比較の土俵が違う。

送料にも手数料がかかるという共通の落とし穴

見落とされやすいのが送料の扱いである。BOOTH の自宅発送は(商品価格+送料)に率をかける。Creema は2025年11月の改定で、対象が販売価格から決済総額へ変わり、ラッピング料と送料が計算に含まれるようになった。minne も作品価格・購入オプション価格・送料の合計に率をかける。メルカリShops は送料別(購入者負担)にした場合、商品価格と送料の合計が売上金となる。BASE のサービス利用料も、公式表記では販売価格に消費税と送料を含むと明記されている。

つまり主要な出品先のほとんどで、送料は手数料の計算対象に入る。これは特定の1社の欠点ではなく、業界的な共通仕様として理解しておくべき性質だ。

実務上の意味は小さくない。1,000円の商品に500円の送料を別途もらう設計にすると、手数料は1,500円に対してかかる。送料込み1,500円で出品しても計算対象は同じだが、購入者にとっての見え方は変わる。送料を購入者負担にすれば手数料が減る、という直感は正しくない。

そしてこの構造は、送料を安く抑える工夫が手数料の節約にも直結することを意味している。梱包を小さくして小型の配送方法に載せられれば、送料そのものと、その送料にかかる手数料の両方が減る。3Dプリント品は設計で厚みを削れる余地があるぶん、この効きは他の物販より大きい。

月額を払う側に回る損益分岐点

月額のあるプランは、売上が一定を超えると得になる。分岐点は引き算で出せる。

STORES の場合、フリーの5.5%からスタンダードの3.6%へ移ると、率が1.9ポイント下がる。月額3,300円をこの差で割ると、3,300 ÷ 0.019 で約17万円。月商がおよそ17万円を超えるあたりから、スタンダードのほうが安くなる計算になる。

BASE の場合はもう少し複雑だ。スタンダードは決済手数料3.6%+40円にサービス利用料3%が加わるので、合計6.6%+40円。グロースは2.9%のみ。率の差は3.7ポイントで、これに1件あたり40円の差が乗る。客単価2,000円と仮定すると1件あたり114円の差が生まれ、月額16,580円を回収するには約146件、月商にしておよそ29万円が必要になる。客単価が上がれば件数は減るが、金額としての分岐点は近い水準に落ち着く。

いずれも、趣味の延長で月に数個売る段階では月額プランを選ぶ理由がないことを示している。先にフリー側で始めて、売上が積み上がってから切り替えるのが素直な順序だ。ただし年間契約を前提とした月額が提示されている点には注意がいる。契約期間中の途中解約による返金は発生しないと明記されているため、切り替えの判断は月商が安定してからのほうが安全である。

BOOTH — ダウンロード商品を正式に扱える場所

BOOTH の特徴は、商品タイプが明確に分かれていることだ。自宅から発送、あんしんBOOTHパック、倉庫から発送、pixivFACTORYから発送、そしてダウンロード。それぞれに手数料の計算式が定義されている。

3Dプリントを売る立場から見て効くのは、ダウンロード商品が正式な商品タイプとして用意されている点である。設計データを売るとき、商品価格の5.6%+45円だけで済む。しかも公式には、無料配布の場合はサービス利用料が発生しないと明記されている。無料でデータを配って認知を作り、有料版で回収するという設計が、手数料の面から成立しやすい。

倉庫からの発送に対応している点も、物販を続ける人には意味がある。在庫を預けて発送を任せられれば、注文のたびに梱包する時間が消える。ただし倉庫発送手数料が別途かかるため、単価の低い商品では割に合わない可能性がある。この判断も、結局は1個あたりの金額で計算するしかない。

サービス利用料は購入者の支払方法に関わらず一律という点も、計算を単純にしてくれる。決済手段ごとに率が変わる設計だと、手取りが読みにくくなる。読みやすさは、値付けの精度に直結する。

Creemaとminne — 「国内最大」を名乗る2社

Creema と minne は、いずれもハンドメイド作品のマーケットプレイスであり、両社とも自社サイト上で「国内最大」に相当する表現を用いている。Creema は「国内最大のハンドメイドマーケットプレイス」、minne は英語表記で「Japan’s largest handmade shopping website」と名乗る。どちらが実際に大きいかを本記事で断定する材料はないので、ここでは両社がそう自称しているという事実だけを記す。

料率はほぼ拮抗している。Creema が税込10.67%、minne が税込10.659%。小数点以下2桁まで並べてようやく差が見える水準で、料率で選ぶ意味はほとんどないと言っていい。

差が出るのは周辺の条件だ。Creema は2025年11月の改定で料率を税抜10%から9.7%へ下げた一方、計算対象を決済総額へ広げた。送料やラッピング料が乗るぶん、送料の高い商品では実質的な負担が下がらない可能性がある。minne は販売手数料が注文ID毎に発生する設計で、1ヶ月の売上合計にかかるのではないと公式が注記している。また minne PLUS の会員になると最大10.45%まで優遇される仕組みがある。

振込条件にも違いがある。Creema は3万円を境に200円と275円、minne は一律220円。minne は発送完了メールを送った日が売上確定日となり、その月に確定した分が翌月末に振り込まれる。3万円前後の売上が続くなら Creema のほうが振込コストは低くなり、少額を頻繁に引き出すなら差は縮まる。

なお、両社でデジタルデータを販売できるかどうかは、本記事の調査では公式の明文を特定できなかった。データ販売を考えているなら、出品前に各社のガイドラインで確認してほしい。

メルカリShops — 決済手数料ゼロと、データを売れない制約

メルカリShops の手数料は売上金の10%で、公式は年会費・月額費に加えて決済手数料もかからないと明記している。手数料の構造としては最も単純で、10%を引いた残りが販売利益になる。振込手数料は1回200円、販売利益が5,000円以上になると毎月の振込日に振り込まれ、月1回か2回かを選べる。

集客の観点では、既存のメルカリ利用者の目に触れる位置に商品が並ぶ点が最大の差になる。自分でショップに人を呼ぶ必要がある BASE や STORES と比べたとき、この違いは手数料の数ポイントより大きく効く場面がある。

一方で、3Dプリントを売る人にとって決定的な制約がひとつある。メルカリではダウンロードコンテンツやデジタルコンテンツなどの電子データの出品が禁止されている。公式ガイドは、該当商品を利用できない等のトラブルを防ぐためとして、ダウンロードする画像やイラスト、書籍、文書、音楽、映像等のデジタルコンテンツを禁止出品物に挙げている。メルカリShops にもメルカリの出品ガイドに準じた禁止ルールが適用される。

つまりメルカリShops は完成品を売る場所であって、設計データの販売先にはならない。完成品とデータの両方を売りたいなら、出品先を分けるか、データを扱える場所を主軸にするかの選択になる。

BASEとSTORES — 自分の店を持つ側の計算

BASE と STORES は、マーケットプレイスではなくネットショップ作成サービスである。並んでいる棚に商品を置くのではなく、自分の店を作る。この違いが手数料の構造にも表れていて、決済手数料が別立てで存在する。

BASE のスタンダードプランは初期費用も月額も0円で、決済手数料3.6%+40円にサービス利用料3%が乗る。グロースプランは月額16,580円を払う代わりにサービス利用料が0円になり、決済手数料も2.9%へ下がる。振込は一律250円で、振込む売上金が2万円未満の場合は事務手数料500円が追加される点は覚えておく価値がある。少額を頻繁に引き出すと、合計750円が毎回消える。

STORES はフリープランが月額0円で決済手数料5.5%から、スタンダードプランが月額3,300円で3.6%から。入金は通常だと翌月末で、スピードキャッシュというオプションを使えば最短翌日になるが、振込手数料275円に加えてスピードキャッシュ手数料がかかる。フリープランでは3.5%、スタンダードプランでは1.5%という設定だ。

3Dプリントとの関係で言えば、両社ともダウンロード販売の仕組みを公式に提供している点が重要になる。BASE はデジタルコンテンツ販売という無料の App を入れることでダウンロード商品を扱えるが、その商品はクレジットカード決済と PAY ID あと払いでのみ購入でき、複数のデジタルコンテンツ商品を一度に購入することはできないという制約がある。STORES は料金ページの機能一覧にダウンロード販売が含まれている。

Etsy — 海外に出すと増える手数料の種類

海外に出す場合の代表格が Etsy だ。手数料の構造が国内サービスとかなり違うので、種類を押さえておきたい。

取引手数料は6.5%で、商品の表示価格に送料とギフトラッピング料金を加えた金額にかかる。日本から販売する場合は、適用される税金を含む価格に対してかかる点も公式に明記されている。これに加えて、商品1個につき $0.20 USD の出品料が発生する。出品料は売れなくても発生し、Etsy.com の出品は4ヶ月で期限切れとなり、自動更新のままにしておくと再び課金される。在庫を並べておくだけでコストが積み上がる設計だ。

さらに注意が要るのが外部サイト広告手数料である。直近365日の売上が $10,000 USD 未満なら15%、$10,000 USD 以上になると12%が、広告経由の注文に課される。そして公式は、$10,000 の限度額に達した後はショップが存続する間この手数料が請求され、参加を外すことができないと定めている。売上が伸びた時点で、コスト構造が自動的に変わるということだ。

通貨の扱いも見落としやすい。支払い口座の通貨と異なる通貨で出品すると、販売額に対し2.5%の外貨両替手数料が加算される。入金手数料は銀行口座の所在地によって異なり、国別のポリシーで定められているため、日本から出す場合は事前に確認しておく必要がある。海外向けの受注運用そのものについては注文が入ったら印刷が始まる(2026-03-20 公開)で扱っている。

入金までの時間が、次の一手を決める

手数料と同じくらい効いてくるのが、売上が手元に届くまでの時間である。材料を買い足す資金が入金待ちで止まると、注文があっても作れない。

minne は発送完了メールを送信した日が売上確定日となり、その月に確定した売上が翌月末に振り込まれる。7月に受注して8月に発送を完了した注文は8月の売上となり、9月末の振込になる。受注から入金まで2ヶ月近く空く可能性があるという計算だ。STORES も通常は翌月末の入金になる。

一方、BASE は申請から10営業日、BOOTH やメルカリShops は振込申請や所定の振込日に応じた入金となる。メルカリShops は販売利益が5,000円以上であることが条件で、月1回か2回かを選べる。

3Dプリントは材料の仕入れが比較的小口で済むぶん、資金繰りの影響は他の物販より軽い。ただしフィラメントをまとめ買いする、プリンターを増設する、といった場面では効いてくる。売れ始めてから慌てないよう、入金サイクルは出品先を選ぶ段階で見ておくべき項目だ。

まとめ — 最初の1つの選び方

数字を並べてきたが、選択の基準は絞れる。

まず単価帯で候補が決まる。数百円の小物中心なら料率制の Creema・minne・メルカリShops が有利で、数千円の実用品中心なら固定額型の BOOTH や BASE が効いてくる。次に売るものの種類で絞られる。設計データも売るつもりなら、電子データの出品を禁止しているメルカリShops は主軸にできず、BOOTH・BASE・STORES が候補に残る。最後に集客をどちらが持つかで決まる。自分で人を呼ぶ自信がなければマーケットプレイス、既に発信の手段があるならネットショップ作成サービスのほうが手数料は軽い。

月額プランへの切り替えは後回しでいい。STORES ならおよそ月商17万円、BASE ならおよそ月商29万円が試算上の分岐点で、そこに届いてから考えれば足りる。何を売るかの市場側の考え方はAI 3Dプリント副業で9割が失敗する理由(2026-03-16 公開)に譲る。

最後に、本記事の数値はすべて2026年8月時点のものである。BOOTH は2025年10月に、Creema は2025年11月に手数料を改定している。出品を決める前に、必ず各社の公式ページで現在の料率を確認してほしい。手数料は、あなたが動かせない原価のうち、唯一あらかじめ調べられる項目である。

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