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試験ガイドに出てくる Claude Code の設定を手元で覚える — コーディングエージェントの MCP・スキル・フック・サブエージェントを1つずつ試す

ゲンキ

Google Cloud の Professional Agentic Architect の試験ガイド(英語の PDF)で、「Claude」の語が出てくるのは1か所だけだ。§2「コーディングエージェントを使ったアプリケーション開発」の 2.1 に、MCP サーバー・スキル・ツールへのアクセスでコーディングエージェントを設定する項目があり、その例として「Antigravity and Claude Code on Google Cloud」と書かれている。そこで当サイトは、§2 の 2.1 と 2.2 の項目を手元の Claude Code の設定に置き換え、MCP・スキル・ルール・フック・サブエージェント・プラグインを1つずつ書いて動かした。本記事はその記録である。

※本記事にはアフィリエイト広告(PR)が含まれます。

先に断っておくと、当サイトはこの試験を受けていない。本記事が扱うのは 2026 年 10 月時点の試験ガイドで、PDF の本文に改訂日の記載は無い。したがって「この設定が出題される」とは言えない。言えるのは、試験ガイドの項目を手元の道具でなぞるとこういう設定になり、この環境ではこう動いた、というところまでだ。資格の全体像と日程(一般受験の申込は 2026 年 11 月 2 日から。2026 年 10 月時点の告知)は、Google Cloud の Professional Agentic Architect は何を証明する資格なのか — 11月の一般提供までに準備する4週間の全体設計(2026-10-19 公開)にまとめた。

もう一つ断っておく。2.2 の項目は、試験ガイドでは Antigravity の項目であり、Claude Code は出てこない。2.2 を Claude Code で練習するのは当サイトの置き換えで、試験ガイドがそう勧めているわけではない。Antigravity の同じ機能については、当サイトは使っておらず、公式資料をもとに対応表を作った。

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試験ガイドの §2 に何が書かれているか

試験ガイドの §2 に何が書かれているか

§2 の見出しは「Section 2: Using coding agents for application development (~17% of the exam)」で、2026 年 10 月時点の試験ガイドでは出題の約 17% を占める。中は 2.1「Using coding agents effectively」と 2.2「Customizing coding agents for enterprise workflows」に分かれ、それぞれ「Considerations include:」に続けて項目が並ぶ。原文は次のとおりだ。

  • 2.1 の1項目め: Configuring coding agents with Model Context Protocol (MCP) servers, custom skills, and access to tools (e.g., Antigravity and Claude Code on Google Cloud)
  • 2.1 の2項目め: Using coding agents in secure sandboxes (e.g., Google Kubernetes Engine [GKE], Cloud Workstations, and Antigravity)
  • 2.1 の3項目め: Using coding agents to refactor source code, optimize execution runtimes, and patch application-layer vulnerabilities
  • 2.2 の1項目め: Creating skills, plugins, extensions hooks, rules, and subagents using Antigravity
  • 2.2 の2項目め: Augmenting Antigravity with Agents CLI to build, scale, govern, and optimize deployed agents

各項目の要旨と、本記事での扱いを表にする。訳は当サイトによる。

項目要旨(当サイト訳)本記事での扱い
2.1 の1項目めMCP サーバー・カスタムスキル・ツールへのアクセスでコーディングエージェントを設定する手元の Claude Code で MCP・スキル・許可を設定して実行した
2.1 の2項目め安全なサンドボックスの中でコーディングエージェントを使う当機はネイティブの Windows で、Claude Code のサンドボックスが動かない。公式資料の説明だけ
2.1 の3項目めソースコードのリファクタ、実行時間の最適化、アプリケーション層の脆弱性の修正対応する機能を公式資料で整理した。手元では試していない
2.2 の1項目めスキル・プラグイン・extensions・フック・ルール・サブエージェントを Antigravity で作るClaude Code に置き換えて、extensions 以外を実行した
2.2 の2項目めAgents CLI で Antigravity を補い、デプロイしたエージェントを作る・広げる・統制する・最適化する公式資料の説明だけ

2.2 の1項目めは、原文では「extensions」と「hooks」の間にカンマが無い。本記事は原文どおりに引用し、「extension hooks」という一つの機能の名前としては扱わない。extensions が何を指すかは、後の Antigravity の対応表の節で整理する。

また、試験ガイドの対象ツールの一覧には「Antigravity (CLI, SDK, App)」「Agents CLI in Agent Platform」「Model Context Protocol (MCP) servers」「Skill Registry」が並ぶ。このうち Skill Registry は、Claude Code や Antigravity のスキルの置き場所とは別の名前で、本記事では扱わない。対象ツールの定義は、Agentic Architect の出題範囲の新しい製品を AI はどこまで知っているか — 試験ガイドの 28 項目を公式ドキュメントで照合した(2026-10-20 公開)で公式ドキュメントと照合した。

「Claude Code on Google Cloud」は何を指すのか

「Claude Code on Google Cloud」は何を指すのか

試験ガイドは「Claude Code on Google Cloud」を例として名前を挙げるだけで、それが何かを定義していない。そのため、試験ガイドの意図は断定できない。手がかりになるのは、Anthropic の公式文書に同じ名前のページがあることだ。見出しは「Claude Code on Google Cloud’s Agent Platform」で、Google Cloud の Agent Platform(旧 Vertex AI)を通して Claude Code を使う設定を説明している。Agent Platform の正式名は Gemini Enterprise Agent Platform である。

公式文書では、手順は次のようになっている。当サイトは Google Cloud のアカウントを使わない方針のため、どれも試していない。

  • 前提として、Agent Platform の API を有効にした GCP プロジェクトが要る。Model Garden で Claude のモデルへのアクセスを申請し、承認を待つ。公式文書は、承認に 24〜48 時間かかることがあると書く
  • 権限は roles/aiplatform.user のロールを割り当てる。公式文書は、費用の追跡とアクセスの管理を簡単にするため、Claude Code のためだけの GCP プロジェクトを作るよう勧めている
  • ログインは、claude を起動してログイン画面で 3rd-party platform を選び、Google Vertex AI(旧名の表示のまま)を選ぶ。公式文書によると、ログイン画面は今も旧名を使っている
  • 環境変数で設定する場合は、CLAUDE_CODE_USE_VERTEX=1、CLOUD_ML_REGION=global、プロジェクトの ID を入れる ANTHROPIC_VERTEX_PROJECT_ID の3つを使う
  • 設定できたかは、/status の API provider の行で確かめる

では、Agent Platform を通すと何が変わるのか。公式の「Feature availability」のページは、手元で動くものは提供元を問わず動くと書く(原文「The Claude Code CLI and everything that runs locally work on every provider.」)。その一覧には、サブエージェント・フック・スキル・CLAUDE.md・プラグイン・MCP サーバー・サンドボックスが並ぶ。公式文書の記述どおりなら、本記事で書いた Claude Code の設定ファイルは、Agent Platform 経由でもそのまま使える。ただし同じページは、MCP には提供元による違いがあるとも書く。claude.ai のコネクタは claude.ai のサブスクリプションでログインしたときだけ読み込まれ、MCP のツールを必要なときに探して読み込む Tool search は、Claude 4.5 世代より前のモデルでは Agent Platform で使えない。

逆に、claude.ai のアカウントでのログインが要る機能は、Agent Platform からは使えない(デスクトップアプリは部分的な例外で、企業向けには管理された設定などで Agent Platform に向けられる)。同じページは、ルーティン・Remote Control・Chrome 拡張・アーティファクト・Code Review などを、Anthropic Console の API キーや他社の提供元からは使えない機能として挙げている。ルーティンの使いどころはルーティンで Claude Code を留守番させる — クラウドで回る定期実行・API・GitHub トリガーの設計(2026-09-22 公開)に書いた。

Google Cloud 側の資料も確かめた。Google Cloud の公式文書にある Claude のモデルのページには、Claude のモデルの一覧があるものの、「Claude Code」の語は無い。当サイトが探した範囲では、Google Cloud の文書に Claude Code だけを扱う案内ページは見つからなかった。

練習の条件 — Claude Code の設定を作業場の3つのツールで確かめる

練習の条件 — Claude Code の設定を作業場の3つのツールで確かめる

実験は 2026-10-12 に行った。条件は次のとおりで、各設定は1回ずつしか試していない(r1 だけは、読み込まれた指示ファイルの記録を残すため、2026-10-13 に同じ条件でもう1回実行した)。結果は「この環境ではこう動いた」として読んでほしい。

  • 環境: Windows 11、Claude Code v2.1.296(claude --version で確認)。Git Bash あり。WSL のディストリビューションは docker-desktop だけ
  • ログイン: 当サイトの通常の Claude Code のログイン。Agent Platform 経由ではない
  • モデル: --model sonnet を指定した。記録上のモデル ID は claude-sonnet-5-5
  • 実行: 対話の画面ではなく claude -p で1回ずつ依頼し、出力を stream-json の形で保存した
  • 面: Claude Code は CLI のほか、デスクトップアプリ・VS Code・JetBrains・Web・モバイルでも動き、公式文書は「同じエンジンが動く」と書く。本記事は CLI だけで試した

実行したコマンドの形は次のとおりだ。利用者の個人の設定を混ぜないために --setting-sources project を付け、--allowedTools にはその回で使うツールだけを並べた。

claude -p "<依頼>" --model sonnet --setting-sources project --output-format stream-json --verbose --no-session-persistence --allowedTools <その回に要るツールだけ>

題材には、ADK のエージェントを手元の PC で書いて動かす — 出題の3割を占めるカスタムエージェントを Google Cloud なしで練習する(2026-10-21 公開)で使った作業場の3つのツールを選んだ。スプールの在庫を返すツール、プリンターの状態を返すツール、プリンターを予約するツールである。これを MCP サーバーにした。在庫とプリンターの状態はコードの中に置いた例の値で、実在の作業場のものではない。

作業用のプロジェクトは、当サイトの普段の作業フォルダの外に作った。中身は次のとおりで、プラグインは別のフォルダに置いた。

<作業用フォルダ>/
    CLAUDE.md
    .mcp.json
    workshop_mcp.py
    orders/order-001.md
    logs/
    .claude/settings.json
    .claude/hooks/block_reserve.py
    .claude/hooks/log_instructions.py
    .claude/rules/orders.md
    .claude/skills/print-preflight/SKILL.md
    .claude/agents/stock-auditor.md
<プラグインのフォルダ>/
    .claude-plugin/plugin.json
    skills/print-preflight/SKILL.md
    agents/stock-auditor.md

注文ファイルは、品名・素材・個数・期日・希望プリンターを書いただけの Markdown である。

# 注文 001

- 品名: スマホスタンド
- 素材: PETG
- 個数: 3
- 期日: 2026-10-20
- 希望プリンター: p1

5回の実行の一覧を先に示す。各項目の設定と読み方は、続く節で1つずつ書く。

回試した項目依頼呼ばれたツール(順)費用(ドル)所要(秒)
r1MCP(project スコープ)・CLAUDE.mdPETG のスプールは何本ありますか?ToolSearch → mcp__workshop__get_spool_stock0.052113.5
r2スキル・パスで絞ったルールorders/order-001.md の注文は刷っていいですか?Skill(print-preflight) → Read → ToolSearch → mcp__workshop__get_spool_stock → mcp__workshop__get_printer_status0.056215.1
r3フック(PreToolUse)p1 を PLA で予約してください。ToolSearch → mcp__workshop__reserve_printer0.049013.4
r4サブエージェントstock-auditor サブエージェントを使って、PLA・PETG・TPU の在庫を数えてください。Agent(stock-auditor)0.051612.6
r5プラグイン/workshop-kit:print-preflight orders/order-001.mdRead → mcp__workshop__get_spool_stock → mcp__workshop__get_printer_status0.049213.0

表の「呼ばれたツール」は親のセッションの呼び出しだけで、r4 のサブエージェントの中の呼び出しは含めていない。費用は claude -p の出力に記録された値(トークン数から定価で計算した見積もりで、請求額ではない)で、所要は claude -p を起動してから終了するまでの時間を外から計った値である。この実行では、1回あたり 0.0490〜0.0562 ドル、所要は 12.6〜15.1 秒だった。

MCP サーバーを project スコープで入れる

MCP サーバーを project スコープで入れる

MCP(Model Context Protocol)は、AI のエージェントを外部のツールやデータにつなぐためのオープンなプロトコルで、Claude Code に固有のものではない。Antigravity も対応している。ツール呼び出しと MCP の基本は、ローカルLLMのツール呼び出しを実務に繋ぐ — OpenAI互換APIとMCPの使いどころ(2026-08-26 公開)で書いた。ここでは、Claude Code に MCP サーバーをつなぐ設定を見る。

公式文書は、リモートの MCP サーバーには HTTP を推奨し、手元のプロセスとして動かすサーバーには stdio を使うと書く。SSE のつなぎ方は非推奨になった。作業場のサーバーは手元で動かすので stdio にした。サーバーは公式の Python SDK(mcp 2.3.0、MIT ライセンス)で書いた。なお、2.x 系では FastMCP が MCPServer に改名されている。

"""The workshop tools as a local stdio MCP server (official Python SDK, mcp 2.x).

Stock and printer data are made-up example values.
"""
from mcp.server.mcpserver import MCPServer

server = MCPServer("workshop")
STOCK = {"PLA": 4, "PETG": 1, "TPU": 0, "ASA": 2}
PRINTERS = {"p1": {"state": "idle"}, "p2": {"state": "printing", "progress": 0.42}}


@server.tool()
def get_spool_stock(material: str) -> dict:
    """Return how many unopened spools of the given filament material are in stock."""
    m = material.strip().upper()
    return {"material": m, "spools": STOCK.get(m, 0)}


@server.tool()
def get_printer_status(printer_id: str) -> dict:
    """Return the current state of a printer ("idle" or "printing")."""
    p = PRINTERS.get(printer_id.strip().lower())
    return {"printer_id": printer_id, "error": "unknown printer"} if p is None else {"printer_id": printer_id.strip().lower(), **p}


@server.tool()
def reserve_printer(printer_id: str, material: str) -> dict:
    """Reserve an idle printer for a job with the given material."""
    return {"reserved": True, "printer_id": printer_id.strip().lower(), "material": material.strip().upper()}


if __name__ == "__main__":
    server.run()

登録には claude mcp add を使う。stdio のサーバーでは、-- の後ろがサーバーを起動するコマンドになる。-- より前は Claude Code 自身のオプションだ。

claude mcp add --transport stdio --scope project workshop -- <python> workshop_mcp.py

MCP のスコープは3つ

MCP の設定には local・project・user の3つのスコープがある(2026 年 10 月時点の公式文書)。既定は local で、local と user は利用者の ~/.claude.json に保存される。一方、project はプロジェクトの直下の .mcp.json に書かれ、公式文書はこれを Git で共有するよう勧めている。チームの全員が同じ MCP のツールを使えるようにするためだ。今回は利用者の ~/.claude.json に書き込まないよう、project スコープだけを試した。できた .mcp.json は次のとおりで、パスは置き換えてある。

{
  "mcpServers": {
    "workshop": {
      "type": "stdio",
      "command": "<作業用の venv>/Scripts/python.exe",
      "args": [
        "<作業用フォルダ>/workshop_mcp.py"
      ],
      "env": {}
    }
  }
}

この実行で見えたこと

r1 では「PETG のスプールは何本ありますか?」と頼んだ。起動時の記録(init)で workshop のサーバーは connected になり、出どころは project だった。承認は求められていない。また、MCP のツールは最初から読み込まれているわけではなかった。Claude はまず ToolSearch でツールを読み込み、それから mcp__workshop__get_spool_stock を呼んだ。答えは「PETG の未開封スプールは 1 本です。」で、数え方は CLAUDE.md の「本で数える」に沿っていた。

承認が求められなかったのには理由がある。公式文書によると、対話のセッションでは .mcp.json のサーバーを使う前に承認を求めるが、claude -p などでは承認なしで読み込む。つまり、他人のリポジトリで claude -p を走らせると、その .mcp.json に書かれたサーバーが確認なしに起動する。走らせる前に .mcp.json を読んでおきたい。

許可の規則では、MCP のツールを mcp__<サーバー名>__<ツール名> の形で書く。公式文書の例では、mcp__puppeteer が puppeteer のサーバーのすべてのツールに当たる。今回は --allowedTools に、その回で使うツールの名前だけを並べた。2.1 の1項目めにある「ツールへのアクセス」の練習としては、この許可の規則と、後で書くフックが該当する。

スキルは description に合う依頼で呼ばれた

スキルは description に合う依頼で呼ばれた

Claude Code の公式文書は、スキルを「Claude にできることを広げるもの」と説明する。中身は SKILL.md という Markdown のファイルだ。置き場所は、プロジェクトなら .claude/skills/<スキル名>/SKILL.md、個人なら ~/.claude/skills/<スキル名>/SKILL.md、プラグインなら <プラグイン>/skills/<スキル名>/SKILL.md になる。以前のカスタムコマンドはスキルに統合された。

frontmatter の項目はすべて任意で、推奨されているのは description だけだ。Claude がいつそのスキルを使うかを判断する手がかりになるからである。ここで取り違えやすい項目が二つある。allowed-tools はツールを制限する項目ではなく、そのスキルを呼んだターンの間、確認なしで使えるツールを足す項目だ。ツールを取り除くのは disallowed-tools で、Claude に自動で読み込ませたくないときは disable-model-invocation を使う。

作業場のスキルは、刷る前の確認の手順にした。frontmatter には description だけを書いた。

---
description: 3Dプリントの注文を刷る前に、素材の在庫とプリンターの空きを確かめる手順。注文ファイルを刷ってよいか聞かれたときに使う。
---

# 刷る前の確認

1. 注文ファイルを読み、素材・個数・希望プリンターを取り出す。
2. `get_spool_stock` で素材の在庫を確かめる。
3. `get_printer_status` で希望プリンターの状態を確かめる。
4. 次の形で結果を返す。予約はしない(予約は人が承認してから)。

    確認結果: 刷れる / 刷れない
    - 在庫: (素材)(本数)
    - プリンター: (ID)(状態)
    - 理由: (刷れない場合のみ)

r2 では「orders/order-001.md の注文は刷っていいですか?」と頼んだ。すると Claude は、最初に Skill のツールで print-preflight を呼んだ。依頼の文にスキルの名前は無いので、description の「注文ファイルを刷ってよいか聞かれたときに使う」に合ったことで選ばれたと読める。続けて注文ファイルを読み、在庫とプリンターの状態を順に確かめ、スキルの形で「刷れる」と答えた。手順4の「予約はしない」のとおり、予約のツールは呼ばなかった。ただし同じ答えは、スタンド1個あたりのフィラメントの使用量が注文ファイルにも在庫のデータにも無いため、「1本で3個分足りるかは確認できていません」とも書いていた。この回で確かめられたのはスキルの呼び出しと手順であり、材料が足りるかの判定ではない。

スキルの一覧は /skills で見られ、/<スキル名> で直接呼ぶこともできる。ただし、今回は1回の実行なので、description に合えば必ず自動で呼ばれるとまでは言えない。依頼の言い回しや description の書き方で変わりうる。

claude -p では .mcp.json のサーバーが承認なしで起動するように、MCP は便利さと引き換えに、何をつなぐかの判断を利用者に求める。MCP を安全に運用するための観点をまとめた一冊がある。

CLAUDE.md とパスで絞ったルールが読み込まれた時点

CLAUDE.md とパスで絞ったルールが読み込まれた時点

公式文書は、CLAUDE.md を「プロジェクト・個人の作業の流れ・組織全体について、Claude に持続する指示を与える Markdown のファイル」と説明する。大きなプロジェクトでは .claude/rules/ の下に複数のファイルに分けられる。さらに、YAML の frontmatter の paths を使えば、特定のファイルにだけ効くルールにできる。なお AGENTS.md は、既定では、作業フォルダかその上に CLAUDE.md(.claude/CLAUDE.md と CLAUDE.local.md を含む)が無いときにだけ読まれる。/config の Project instructions で、両方を読むようにも変えられる。

作業場の CLAUDE.md は2行だけにした。

# 作業場のルール

- 答えは日本語で書く。
- フィラメントのスプールの数は「本」で数える。

注文ファイルのルールは、orders/ の下のファイルにだけ効くよう paths で絞った。

---
paths:
  - "orders/**"
---

# 注文ファイルの扱い

注文ファイルを読んだら、答えの最初に「素材・個数・期日」の3列の表を置く。

いつ読み込まれたかを記録する

ルールがいつ読み込まれたかは、答えを見るだけでは分からない。そこで、指示のファイルが読み込まれたときに起きる InstructionsLoaded のイベントにフックを付け、イベントの中身をそのままファイルに書き足すようにした。フックの登録は、次の節の settings.json にまとめてある。

"""InstructionsLoaded hook: append the whole event (which instruction file was loaded and why)."""
import datetime, json, os, sys

event = json.load(sys.stdin)
log = os.path.join(os.environ.get("CLAUDE_PROJECT_DIR", "."), "logs", "instructions.jsonl")
with open(log, "a", encoding="utf-8") as f:
    f.write(json.dumps({"ts": datetime.datetime.now().isoformat(timespec="seconds"), "event": event}, ensure_ascii=False) + "\n")

このフックは保存先の logs/ を作らないので、logs/ が無いと記録の書き込みに失敗する。試すときは、先に作業用フォルダに logs/ を作っておく。今回の作業用フォルダにも、実行の前に手で作ってあった。

r2〜r5 の記録は6件あった。内訳は、CLAUDE.md の load_reason=session_start が4件、orders.md の load_reason=path_glob_match が2件である。path_glob_match の2件はどちらも trigger が order-001.md で、記録のセッションの ID を各回の出力と照らすと、注文ファイルを読んだ r2 と r5 のものだった。

10 月 12 日の r1 の記録は残していなかったため、13 日に同じ条件(同じ作業用フォルダ・同じ依頼・同じ --allowedTools・--setting-sources project)で r1 を再実行し、読み込まれた指示ファイルがプロジェクトの CLAUDE.md(session_start)の1件だけであることを記録で確かめた。表の r1 の費用と所要は、12 日の実行の値である。なお再実行の Claude は、ToolSearch を経ずに在庫のツールを引数なしで呼んで検証エラーになり、素材を付けて呼び直しており、同じ条件でもツールの呼び方は 12 日の r1 と違った。

まとめると、CLAUDE.md はセッションの始めに読まれ、パスで絞ったルールは対象のファイルを読んだ時点で読み込まれた。r2 の答えは、ルールのとおり先頭に「素材・個数・期日」の3列の表を置き、その後にスキルの形の確認結果を続けていた。注文ファイルを読まなかった回(r3 と r4)には、注文のルールの読み込みの記録が無い。常に要る指示は CLAUDE.md に、特定のファイルを扱うときだけ要る指示はパスで絞ったルールに、と分ければ、文脈を無駄に使わずに済む。

PreToolUse のフックで予約を止める

PreToolUse のフックで予約を止める

公式文書によると、フックは Claude Code の動作の決まった時点で自動で実行されるもので、利用者が定義したシェルのコマンド・HTTP のエンドポイント・MCP のツール呼び出し・LLM へのプロンプト・サブエージェントのいずれかを動かす。処理の種類は command・http・mcp_tool・prompt・agent の5種類だ。イベントは、2026-10-12 時点の文書の表で 33 種類ある(版で増減しうる)。たとえば PreToolUse はツールの呼び出しが実行される前に起き、その呼び出しを止められる。Stop は Claude が応答を終えたときに起きる。

止めることは終了コードで伝える。終了コード 2 が「止める」の合図で、PreToolUse のように止められるイベントでだけ効く。フックを書く場所には、全プロジェクトに効く ~/.claude/settings.json、共有できるプロジェクトの .claude/settings.json、.claude/settings.local.json、管理者の設定、プラグインの hooks/hooks.json、スキルとサブエージェントの frontmatter がある。Windows では、コマンドのフックは Git Bash で動き、Git Bash が無ければ PowerShell で動く。当機には Git Bash がある。

作業場では、予約のツールを呼ぶ前に必ず止めるフックを書いた。settings.json は次のとおりだ。実際のファイルでは空白を含むパスに備えてパスを二重引用符で囲んだが、ここではその引用符を省いた。

{
  "hooks": {
    "PreToolUse": [
      {"matcher": "mcp__workshop__reserve_printer",
       "hooks": [{"type": "command", "command": "python $CLAUDE_PROJECT_DIR/.claude/hooks/block_reserve.py"}]}
    ],
    "InstructionsLoaded": [
      {"hooks": [{"type": "command", "command": "python $CLAUDE_PROJECT_DIR/.claude/hooks/log_instructions.py"}]}
    ]
  }
}

止めるスクリプトは、標準エラーに理由を書き、終了コード 2 で終わるだけである。

"""PreToolUse hook: stop reserve_printer and ask for a human decision (exit code 2 blocks the call)."""
import json, sys

event = json.load(sys.stdin)
sys.stderr.write("予約は人の承認が必要です(PreToolUse フックで停止)。tool=" + event.get("tool_name", "") + "\n")
sys.exit(2)

この実行で見えたこと

r3 では「p1 を PLA で予約してください。」と頼んだ。Claude は ToolSearch で予約のツールを読み込み、mcp__workshop__reserve_printer を呼んだ。その呼び出しはフックで止まり、ツールの結果には「予約は人の承認が必要です(PreToolUse フックで停止)」がエラーとして返った。これを受けて Claude は「フックを回避したり、別の方法で予約したりはしません」と答え、ほかの手段を探さなかった。

ここで見ておきたいのは、止めたのがモデルの判断ではなくフックだったことだ。プロジェクトの指示には「予約の前に状態と在庫を確かめる」が無く、この回の Claude は状態も在庫も確かめずに、いきなり予約を呼んだ。手順を守らせたいならスキルや CLAUDE.md に書き、どうしても通したくない操作はフックで止める、という分担になる。読み込まれたフックの設定は、対話のセッションで /hooks を開けば確かめられる。エージェントが手順どおりの順番でツールを呼んだかを後から機械的に確かめる方法は、ADK の評価セットでエージェントを手元で採点する — デプロイ先の選び方は公式資料で整理する(2026-10-22 公開) で扱った。

CLAUDE.md とパスで絞ったルールは、一度書いて終わりではなく、使いながら育てていくものだ。CLAUDE.md とルール群の育て方を手を動かして学ぶ一冊が、2026 年 11 月に発売される予定だ。

サブエージェントは別の文脈で動き、要約だけを返した

サブエージェントは別の文脈で動き、要約だけを返した

公式文書は、サブエージェントを「決まった種類の作業を受け持つ AI のアシスタント」と説明する。それぞれが自分の文脈の窓(コンテキストウィンドウ)で動き、個別のシステムプロンプト・使えるツール・権限を持つ。ファイルは YAML の frontmatter の後に Markdown でシステムプロンプトを書く形で、必須の項目は name と description の2つだ。置き場所には、プロジェクトの .claude/agents/ と、全プロジェクトに効く ~/.claude/agents/ などがある。

/agents の扱いには注意がいる。v2.1.198 以降の /agents は、サブエージェントの作成と管理を Claude に頼むよう案内を出すだけで、操作の画面は開かない。作成と管理の画面が開いたのは v2.1.197 以前である。現在は、サブエージェントはファイルを書くか、Claude に頼んで作る。公式文書によると、セッションを始めた後に agents のフォルダを作った場合は、再起動が要る。

入れ子にも上限がある。サブエージェントがさらにサブエージェントを呼ぶ入れ子は、既定で本体の会話の下3階層までで、CLAUDE_CODE_MAX_SUBAGENT_SPAWN_DEPTH で変えられる。作業場のサブエージェントは在庫係にした。tools に在庫のツールだけを書いたので、このサブエージェントは状態の確認も予約もできない。

---
name: stock-auditor
description: フィラメントの在庫を素材ごとに数えて報告する。在庫の確認を頼まれたときに使う。
tools: mcp__workshop__get_spool_stock
---

あなたは作業場の在庫係です。頼まれた素材ごとに get_spool_stock を呼び、「素材: 本数」の一覧だけを日本語で返してください。在庫が0本の素材には「(在庫なし)」と書き添えてください。

この実行で見えたこと

r4 では「stock-auditor サブエージェントを使って、PLA・PETG・TPU の在庫を数えてください。」と頼んだ。親のセッションが呼んだのは、Agent のツール(subagent_type: stock-auditor)の1回だけだった。在庫のツールはサブエージェントの中で3回呼ばれ、親子の関係を示す parent_tool_use_id の付いたメッセージが7件記録された。

親のセッションに戻ったのは、「PLA: 4本 / PETG: 1本 / TPU: 0本(在庫なし)」という要約だけだった。調べる途中の呼び出しと結果は親の文脈に積まれなかった。途中の結果を親が見る必要のない作業なら、この形で親の文脈を軽く保てる。数十のサブエージェントを台本で回す使い方は、Claude Code のワークフローは台本を固定する — 数十のサブエージェントを一つのスクリプトで回す(2026-09-23 公開)で書いた。

プラグインにまとめると名前に接頭辞が付いた

プラグインにまとめると名前に接頭辞が付いた

公式文書は、Claude Code のプラグインを「スキル・エージェント・フック・MCP サーバーなどを、一つの単位として入れて読み込むフォルダ」と説明する。いくつかのスキル・サブエージェント・フック・MCP サーバーをまとめて配りたいときに使う。開発中はマーケットプレイスを通さず、--plugin-dir でフォルダから直接読み込める。

注意点が二つある。一つは、プラグインに CLAUDE.md(ルール)を入れられないことだ。公式文書は、プラグインに指示を入れたいならスキルとして書くよう求めている。もう一つは名前の取り違えで、VS Code の拡張機能や JetBrains のプラグインは、Claude Code のプラグインとは別のものである。

今回は、スキル print-preflight とサブエージェント stock-auditor を、workshop-kit という名前のプラグインにまとめた。プラグインの中のファイルは、プロジェクトに置いたものと同じ内容だ。目印になる plugin.json は次のとおりである。

{
  "name": "workshop-kit",
  "version": "0.1.0",
  "description": "The pre-print check skill and the stock auditor subagent, packaged as a plugin."
}

この実行で見えたこと

r5 では、--plugin-dir でプラグインを読み込み、/workshop-kit:print-preflight orders/order-001.md と打った。起動時の記録には、workshop-kit:print-preflight(スキル)と workshop-kit:stock-auditor(サブエージェント)が、プロジェクトに置いた同じ名前のもの(接頭辞なし)と並んで出た。プラグインのものにはプラグインの名前が接頭辞として付くので、同じ名前でも区別できる形で並ぶ。

スラッシュコマンドで呼ぶと、Claude は注文を読み、在庫を確かめ、プリンターの状態を確かめる、というスキルの手順で答えた。答えは r2 と同じく「刷れる」で、1個あたりの使用量が注文ファイルに無いため1本で足りるかは確認できていない、と断ったうえで、足りる前提で判断したと書いていた。表の r5 で親のセッションの呼び出しに Skill が無いのは、利用者がスラッシュコマンドで直接スキルを呼んだためと考えられる。チームでスキルとサブエージェントを配るなら、プラグインの名前の接頭辞で出どころが分かる点は役に立つ。

サブエージェントやフックを日々の開発の中でどう組み合わせるかを通して読みたい人には、Claude Code を実務で使う手順をまとめた次の一冊がある。

試すときの注意 — 作業用フォルダの置き場所とコネクタ

試すときの注意 — 作業用フォルダの置き場所とコネクタ

手元で Claude Code の設定を試すなら、気をつけたい点が四つある。いずれも今回の実行で実際に起きたか、公式文書が注意していることだ。

一つ目は作業用フォルダの置き場所である。最初の r1 は、作業用フォルダを利用者のホームの下に置いて実行した。すると、親のフォルダにある ~/.claude/CLAUDE.md(利用者の個人の指示)が、「Project」のメモリとして読み込まれた。--setting-sources project を付けていても読み込まれた。そこでホームの外にフォルダを移してやり直し、表の r1 にはやり直した2回目の結果を載せた。

二つ目は claude.ai のコネクタだ。claude.ai のアカウントの側で設定したコネクタは、--setting-sources project を付けても読み込まれた。今回はコネクタのツールを --allowedTools に入れず、5回とも呼ばれなかった。ただし --allowedTools は確認なしで実行してよいツールを指定するもので、使えるツールを絞る指定ではない。実際、起動時の記録では、コネクタのツールもセッションのツールの一覧に並んでいた。一覧から外すには、公式文書が書くとおり --disallowedTools を使う。プロジェクトの設定だけで試しているつもりでも、アカウントの設定は別に入ってくる、と考えておくほうがよい。

三つ目は、MCP の節で書いた .mcp.json の承認である。claude -p では承認なしで読み込まれる。加えて、local スコープで試すと利用者の ~/.claude.json に書き込まれる。普段の設定を汚したくないなら、project スコープで試し、終わったら作業用フォルダごと片づけるのがよい。

四つ目は費用と権限だ。この実行では1回 0.0490〜0.0562 ドル(見積もり)で、5回とも小さかった。ただ、claude -p で確認なしに走らせることは、何を許可するかの設計と切り離せない。承認なしで走る実行に何を渡すかは、Claude Code の権限と費用を、常駐させる前に決める — 承認なしで走る実行に何を渡すか(2026-09-26 公開)に書いた。

手元で試していない項目 — サンドボックス・リファクタ・脆弱性の修正

手元で試していない項目 — サンドボックス・リファクタ・脆弱性の修正

2.1 の2項目め(サンドボックス)と3項目め(リファクタ・最適化・脆弱性)は、手元では試していない。公式資料で分かることだけを書く。

Claude Code のサンドボックス

公式文書は、Bash のサンドボックスを「Claude があなたのマシンで実行するシェルのコマンドの周りに、OS が強制する境界」と説明する。既定ではオフで、/sandbox で切り替える。動くのは macOS・Linux・WSL2 で、ネイティブの Windows ではコマンドはサンドボックスなしで動く、と公式文書は書く。当機は Windows 11 で、WSL のディストリビューションは docker-desktop だけなので、試せなかった。

落とせない点が三つある。まず、囲われるのはシェルのコマンドだけで、ファイル操作のツール・MCP サーバー・フックは外で動く。次に、読み取りの既定は広く、~/.ssh のような認証情報のファイルを含むマシンの大部分を読める(塞ぐには denyRead を設定する)。そして、全体を囲いたいなら dev container や VM を選ぶ。公式文書は dev container について、相当の保護を与えるものの、どんなシステムもあらゆる攻撃に完全に強いわけではないと注意している。権限のモードの bypassPermissions も、コンテナや VM のような隔離された環境でだけ使うよう書かれている。

GKE と Cloud Workstations

GKE には、GKE Agent Sandbox という機能がある。試験ガイドがこれを指すとは書かれていないが、名前のとおりエージェントのための隔離の仕組みだ。公式文書によると、LLM が生成した信頼できないコードを安全に実行するために、隔離された・状態を持つ・単一レプリカのワークロードを GKE 上で管理する仕組みで、gVisor のようなセキュリティを重視したランタイムで隔離する。開発者に、隔離されたクラウドの開発環境を持たせる用途もある。Agent Sandbox 自体に追加料金は無いが、作ったリソースには GKE の料金がかかる。特定のコーディングエージェントのための仕組みではない。

Cloud Workstations は、Google Cloud 上の管理された開発環境である。その公式文書が案内するコーディングエージェントは Gemini CLI で、すべてのワークステーションのイメージに Gemini CLI が入っている。また、Antigravity の VS Code 拡張は v1.7.0 で、Cloud Workstations と Cloud Shell での対話的な認証に対応した。一方、Claude Code を Cloud Workstations や GKE Agent Sandbox で動かす公式の手順は、どちらの公式資料でも見つからなかった。Claude Code の文書は、2026-10-12 に取得した 222 ページを検索した。

ただし Claude Code の文書には、Google Cloud や GKE の上で動かす資料が別に二つある。一つは Claude apps gateway を Cloud Run か GKE の上に置き、モデルの上流を Agent Platform にする例である。gateway は開発者の Claude Code とモデルの提供元の間に置く自前のサービスで、社内の ID でのログインやモデルの利用の管理を受け持つ。Claude Code の本体は開発者の手元で動き、公式文書もこの例を、サポートされた本番構成ではなく動く例だと断っている。

もう一つは自己ホスト環境(Team と Enterprise のプランで公開ベータ)で、Claude Code のクラウドセッションを組織が運用する基盤で動かす。本番向けの文書には Kubernetes のレシピがあり、強化策に GKE Workload Identity が挙がる。

リファクタ・実行時間の最適化・脆弱性の修正

リファクタには、Claude Code の公式文書に手順の例がある(Common workflows の「Refactor code」の節)。Antigravity でも、CLI の plan モードの説明に、複雑なリファクタが使いどころとして出てくる。/plan のコマンドの説明も使いどころにリファクタを挙げ、次に書く /boost も、込み入った複数ファイルのリファクタを対象に含める。

実行時間の最適化(optimize execution runtimes)に当たる名前の付いた機能は、Antigravity にはある。/boost で、問題を分けて複数のサブエージェントに渡し、検証を繰り返す仕組みだ。公式資料は使いどころに、並行処理の難しいバグ・アルゴリズムの最適化・込み入った複数ファイルのリファクタを挙げ、CLI の例には、行列の転置を SIMD でベクトル化してスループットを測る依頼がある。有料プランで、2.0 と CLI で使える。

一方、Claude Code には、実行時間の最適化そのものを名前に持つ機能は見当たらなかった。近いのは /simplify で、変更したコードを4つのエージェントが並行して見直し、その観点の一つに効率(efficiency)がある。Claude Code では、リファクタと同じく、指示して行わせる作業と考えるのがよい。

脆弱性の発見と修正に使える Claude Code の道具には、主に次の3つがある。/security-review は、現在のブランチの変更を脆弱性の観点で調べるコマンドで、origin のリモートが要る。作業用の空のフォルダには origin が無いため、今回は試していない。security-guidance プラグインは、Claude が作業しながら自分の変更をよくある脆弱性の観点で見直し、見つけたものを同じセッションで直す。Claude Security プラグインは、リポジトリ全体を走査し、選んだ指摘を修正案にし、それを利用者が見直して当てる。ほかに、GitHub のプルリクエストを自動で見る Code Review(Team と Enterprise 向けのリサーチプレビュー)も、探す対象に脆弱性を挙げている。

Antigravity の公式資料(2026-10-12 に取得した 35 ページ)では、脆弱性の修正のための機能は見当たらなかった。サブエージェントの書き方の例に「security auditor」があるが、これは書き方の例であって機能ではない。

Antigravity の同じ機能 — 公式資料による対応表

Antigravity の同じ機能 — 公式資料による対応表

Antigravity は Google のコーディングエージェントで、公式資料は「自律的なサブエージェント・定期実行のタスク・対話的なコードの検証を指揮するための、エージェント型のコーディングのプラットフォームと CLI」と説明する。当サイトは使っていない。この節の内容は、すべて 2026-10-12 に取得した公式資料による(フックのイベントの数だけは 2026-10-13 に取り直した)。

公式文書が挙げる Antigravity の面は、Antigravity 2.0・CLI・SDK・IDE の4つで、ほかに IDE 拡張がある。デスクトップアプリの Antigravity 2.0 は、前身の Agent Manager と違って IDE から独立したアプリだ。Antigravity CLI(コマンド名 agy)は端末で動く TUI で、macOS・Linux・Googlebook・Windows で動く。Antigravity SDK は Python の SDK で、pip install google-antigravity で入れる。Antigravity IDE は企業向けには非対応で、IDE 拡張は VS Code・Visual Studio・JetBrains・Zed・Xcode 向けにある。試験ガイドは「Antigravity (CLI, SDK, App)」の3つを挙げる。App はデスクトップの Antigravity 2.0 と思われるが、試験ガイドは App が何かを書いていない。

利用には、Google アカウントでのログインが要る。Gemini API キーで動かす手順は CLI と SDK の文書にあり、SDK は API キーを設定して使う。

個人向けは一般提供で $0(月額。週ごとの利用上限あり)で、上限はプランで変わる。追加の上限のために自分の API キーを持ち込むことはできない。

提供地域に日本が含まれ、18 歳未満は使えない。FAQ は、他社のツールから Antigravity にアクセスすることを利用規約の違反としており、その問いには Claude Code の名が出てくる。

使えるモデルは Gemini だけではなく、プランによって Claude のモデルも選べる。ただし、モデルとプランの対応は 2026 年 11 月 2 日に一部が変わるため、細部は書かない。企業向けには Gemini Enterprise を通して提供される。

試験ガイドの項目Claude Code(公式文書)Antigravity(公式資料)
MCP サーバーclaude mcp add。スコープは local(既定)・project(.mcp.json)・user2.0 と IDE は MCP Store。CLI は /mcp と mcp_config.json(グローバルとワークスペースの2か所)。未設定の MCP ツールは既定で承認制
スキル.claude/skills/<名前>/SKILL.md。description は推奨(必須ではない).agents/skills/<名前>/SKILL.md。description は必須。CLI ではスラッシュコマンドになる
ツールへのアクセス許可の規則(allow・ask・deny)、スキルの allowed-tools、サブエージェントの tools権限の規則、MCP の disabledTools、サブエージェントの tools
ルールCLAUDE.md と .claude/rules/ の下のファイル(paths で絞る)。AGENTS.md は既定では CLAUDE.md が無いときだけ読む(設定で変えられる)AGENTS.md・GEMINI.md と .agents/rules/ の下のファイル(trigger を書いた frontmatter が必須)
フックsettings.json の hooks。イベント 33 種類、処理 5 種類hooks.json。イベント 6 種類(SessionStart・PreToolUse・PostToolUse・PreInvocation・PostInvocation・Stop)
サブエージェント.claude/agents/<名前>.md(name と description が必須).agents/agents/<名前>.md など。組み込みに research・browser・self
プラグイン.claude-plugin/plugin.json にスキル・エージェント・フック・MCP。CLAUDE.md は入らないplugin.json にスキル・サブエージェント・ルール・mcp_config.json・hooks.json
サンドボックス/sandbox。macOS・Linux・WSL2 で動き、既定はオフ。ネイティブ Windows では無いTerminal sandbox。2.0 の macOS・Linux では既定でオンで ~/.ssh を塞ぐ。CLI は設定で有効にする(既定は false)。Windows は以前の挙動
extensionsその名前の機能は無い。文書は CLAUDE.md・スキル・MCP などをまとめて「拡張」と呼ぶ意味が3つある(下の本文)

表の数は、Claude Code が 2026-10-12、Antigravity が 2026-10-13 時点の文書の表の行数である。Antigravity の表は、10 月 12 日に取得したときは SessionStart の無い5種類で、13 日に取り直すと6種類だった。フックのイベントの数を比べるときは、版で増減することを添えておきたい。

共通の部分と、違う部分

MCP はオープンなプロトコルで、どちらか一方の機能ではない。スキルの SKILL.md も、両者とも Agent Skills というオープンな標準に従うと書いている。ただし置き場所が違い、Claude Code は .claude/skills、Antigravity は .agents/skills を使う。Claude Code は .agents/ の下の指示のファイルやスキルを自動では読み込まない。Read のツールでファイルとして読むことはできる。

ほかにも違いがある。AGENTS.md は、Antigravity ではルールとして読まれ、Claude Code では既定で CLAUDE.md が無いときだけ読まれる。プラグインにルールを入れられるのは Antigravity で、Claude Code では指示をスキルとして入れる。ブラウザを操作するサブエージェントは Antigravity に組み込みの browser があるが、Claude Code にも Chrome 拡張がある(claude.ai のアカウントでのログインが要る)。

extensions の3つの意味

試験ガイドの「extensions」は、Antigravity の公式資料では3つの意味で出てくる。一つ目は Gemini CLI の拡張機能で、Antigravity はこれをプラグインに取り込む。公式資料は、業界が「plugins」という語に揃ったと書き、agy plugin import gemini で取り込めるとしている。CLI の初回の起動時にも、Gemini CLI の拡張機能・スキル・設定を一度だけ取り込める。二つ目は IDE の拡張機能である。三つ目は、2.0 の v2.22.0(2026-10-08)で入った UI extensions で、会話の横の欄に表示されるものだ。

試験ガイドがこのどれを指すかは、試験ガイドに書かれていない。Claude Code の側には「extension」という名前の機能は無い。公式文書の「Extend Claude Code」のページが、CLAUDE.md・スキル・サブエージェント・フック・MCP・プラグインをまとめて「拡張」として説明しているだけだ。

Agents CLI で Antigravity を補う、とは何をすることか

Agents CLI で Antigravity を補う、とは何をすることか

2.2 の2項目めは「Augmenting Antigravity with Agents CLI」である。Agents CLI(試験ガイドの対象ツールの一覧では「Agents CLI in Agent Platform」)は、Google の GitHub の google/agents-cli で公開されている。フォークではない本家のリポジトリで、ライセンスは Apache-2.0 だ。発表は 2026-04-22 の Google for Developers Blog で、2026-10-12 に確認した版は v1.9.0(2026-10-06 公開)で、同じ日付で v1.10.0 も公開されている。

README は、Agents CLI を「コーディングエージェントに、企業向けのエージェントを build, scale, govern, and optimize するためのスキルとコマンドを与えるもの」と説明する。試験ガイドの 2.2 にある4つの動詞と同じだ。注意したいのは、Agents CLI 自体はコーディングエージェントではないことである。Google Cloud 上の ADK のエージェントを作る・評価する・デプロイする作業を、手元のコーディングエージェントがうまくこなせるよう、CLI のコマンドとスキルを足す道具だ。

使い方は2通りある。コーディングエージェントと使う場合は、スキルを Antigravity CLI・Claude Code・Codex などに入れる。コーディングエージェントを使わない場合は、人が端末で CLI のコマンドを直接打つ。どのコマンドも単独で動く。スキルは 7 個ある。

Antigravity との連携の中身は、Agents CLI のソースの説明によると、agents-cli setup が入れたスキルを Antigravity から見える場所に置くことだ。一方、Antigravity の公式資料(取得した 35 ページ)には、Agents CLI の説明が無かった。同じ setup は、Claude Code を含むほかのコーディングエージェントにもスキルを入れる。リポジトリには Claude Code のプラグインの形(.claude-plugin/plugin.json)と、Gemini の拡張機能の形(gemini-extension.json)の両方がある。

§3 の 3.1 には「Configuring skills using Agents CLI (e.g., plugins and agent vs. human mode)」という項目もある。この plugins がリポジトリのプラグインの形を指すかは、試験ガイドからは断定できない。agent mode と human mode は、発表のブログの言い方として読むのがよい。ブログは、Agents CLI はエージェントが使うことを前提に作られているが、開発者には決まった動作で操作できることも要る、と書く。そのうえで、人が端末やスクリプトでコマンドを直接実行する使い方を挙げている。

導入は uvx google-agents-cli setup で、Python 3.11 以上・uv・Node.js が要る。ネイティブの Windows は公式には対応していないので、当機で試すなら WSL2 が要る。今回は試していない。手元での開発(作成・実行・評価)は AI Studio の API キーででき、デプロイとクラウドの機能には Google Cloud が要る。コーディングエージェントの認証には Agents CLI は関わらず、Claude Code なら Anthropic のアカウントか API キーを使う。

また、Agents CLI はコマンドを実行するたびに利用状況の信号を1件送る設定が既定でオンになっている。記録の本体は利用者の Google Cloud プロジェクトのログに書かれ、それを書き込むリクエストのヘッダーで、CLI と Python の版・OS・CPU のアーキテクチャ・コマンド名・実行ごとのランダムな ID が Google にも届く。止めるには AGENTS_CLI_TELEMETRY=0 か DO_NOT_TRACK=1 を設定する。ADK のエージェントを手元で書く練習は、ADK のエージェントを手元の PC で書いて動かす — 出題の3割を占めるカスタムエージェントを Google Cloud なしで練習する(2026-10-21 公開)で扱った。

この練習で言えること、言えないこと

この練習で言えること、言えないこと

手元で試した6つを、試験の項目と並べて振り返る。

試験の項目手元で書いた設定この実行で見えたこと
MCP(2.1).mcp.json(project スコープ)に stdio のサーバーclaude -p では承認なしでつながった。r1〜r3 では、ツールは ToolSearch で読み込んでから呼ばれた(r5 では ToolSearch を経ずに呼ばれた)
スキル(2.1・2.2).claude/skills/print-preflight/SKILL.md(description だけ)名前を出さない依頼で自動で呼ばれ、手順どおり予約しなかった
ルール(2.2)CLAUDE.md と .claude/rules/orders.md(paths)CLAUDE.md はセッションの始めに、注文のルールは注文ファイルを読んだ時点で読み込まれた
ツールへのアクセス・フック(2.1・2.2)PreToolUse の command フック(終了コード 2)予約が止まり、フックの文がエラーとしてモデルに返った。モデルは回避しなかった
サブエージェント(2.2).claude/agents/stock-auditor.md(在庫のツールだけ)中で在庫のツールを3回呼び、親には要約だけが戻った
プラグイン(2.2)workshop-kit(スキルとサブエージェント)workshop-kit: の接頭辞つきで、プロジェクトの同じ名前のものと並んだ

言えないことも多い。第一に、各設定は1回ずつ(r1 だけは同じ条件で2回)、Windows 11・Claude Code v2.1.296・Sonnet の組み合わせで試しただけだ。版やモデルや依頼の言い回しが変われば、スキルが自動で呼ばれるかどうかも、モデルがフックの後にどう振る舞うかも変わりうる。第二に、サンドボックス・/security-review・local スコープ・Agent Platform 経由の利用・Antigravity・Agents CLI・GKE・Cloud Workstations は試していない。

第三に、試験に何がどう出るかは分からない。試験ガイドは項目を挙げるだけで、当サイトは試験を受けていない。しかも 2.2 は Antigravity の項目なので、もし Antigravity での置き場所(.agents/skills など)が問われるなら、Claude Code の練習だけでは答えられない。そこは上の対応表で名前を置き換えて覚える必要がある。第四に、この練習は Google Skills で行う実技ラボの代わりにはならない。

それでも、Claude Code の設定を一度手元で書いて動かすと、ファイルの置き場所と、それがいつ読み込まれるかが具体的に頭に入る。この実行では、スキルは description に合う依頼で呼ばれ、パスで絞ったルールは対象のファイルを読んだ時点で入り、フックは終了コード 2 で予約を止め、サブエージェントは要約だけを返した。こうした動きを自分の環境で一度確かめておけば、Antigravity の公式資料を読むときも、どこが同じでどこが違うかを見分けやすくなる。

Agents CLI が作り・評価し・デプロイするのは ADK のエージェントだ。コーディングエージェントに任せる前に、ADK と A2A でエージェントを設計する考え方を押さえておくと、出てきたコードを読みやすくなる。

参照

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