スマートプラグの電力データは測る間隔で変わる — 英国20軒の8秒のデータを間引き、電気ケトルの見落としを数える

スマートプラグで家電の電力を記録すると、アプリのグラフや書き出したファイルには、一定の間隔ごとの値が並ぶ。その間隔が数秒なのか、15 分なのか、1 時間なのかで、同じ家電の同じ使い方がまったく違って見える。1 日の電力量はほとんど変わらないのに、電気ケトルでお湯を沸かした回数は記録からほぼ消える、ということが起きる。
そこで、英国の家庭 20 軒の電力を公称 8 秒間隔で記録した公開データ REFIT(2013〜2015 年)を、1 分・5 分・10 分・15 分・1 時間の間隔に間引き、何が残り何が消えるかを数えた。スマートプラグを買って手元の家電を測ったのではない。公開データの上で「その間隔で読んだらこう見える」を計算したものである。
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先に結果を書く。15 分ごとにその時点の電力を抜き取ると、電気ケトルの使用 27,756 回(14 軒分)のうち 89.2% を見落とした。1 分ごとでも 15.1% を見落とした。一方、家全体の日の電力量のずれは、中央値で 1 分 0.58%、15 分 5.22%、1 時間 11.94% だった。さらに、区間ごとの電力量で受け取れば、日の電力量は間隔によらず変わらない。記録の中身を決めているのは製品の名前ではなく、どの取り出し方で値を受け取るかである。
後半では、日本向けの正規品の SwitchBot プラグミニ(JP)・Tapo P110M・ラトックシステムの RS-BTWATTCH2 について、公式資料に書かれた書き出しの仕様と、Home Assistant での受け取り方を比べる。RS-BTWATTCH2 はメーカーの製品ページで「出荷完了」と表示されており、新しく入手できるかは流通在庫の確認が要る。製品に順位は付けない。何を知りたいかで取り出し方と間隔を選ぶための材料として並べる。
スマートプラグのデータは2種類ある — その時点の電力と、区間の電力量

スマートプラグが返す値は、大きく 2 種類に分かれる。1 つは、その瞬間に流れている電力(W)だ。もう 1 つは、ある区間に使った電力量(Wh や kWh)、あるいは機器が数え続けている累計の電力量である。アプリではどちらも「電力」のグラフになるが、間隔を粗くしたときの崩れ方がまるで違う。
その時点の電力を一定の間隔で読む取り出し方では、読んだ瞬間の値しか手元に残らない。読んだ値が次に読むまで続いたとみなして電力量を出すので、2 回の読み取りのあいだに始まって終わった使用は、記録の上では無かったことになる。反対に、たまたま使用中に読めば、その値が区間いっぱい続いたことになり、電力量は多めに出る。
一方、区間の電力量や累計の電力量を受け取る取り出し方では、電力量は機器の中で数えられている。受け取る間隔が 1 時間でも、その 1 時間に使った分は合計に入っている。間隔を粗くして失われるのは、区間の中で「いつ」「何回」使ったかという時間の情報だけだ。
Home Assistant の Energy の FAQ も、同じ向きのことを書いている。まばらに抜き取った 1 本の値の列を積分しても正確な電力量は得られず、数秒ごとのように十分細かく抜き取れれば、リーマン和のような数値的な近似で電力量を見積もれる、という説明だ。ただし「何秒なら十分か」の数値は公式資料に無い。そこで、間隔ごとの違いを公開データで数えることにした。
実験の条件 — 英国20軒の公称8秒のデータを、2通りに間引く

使ったのは REFIT: Electrical Load Measurements (Cleaned) である。University of Strathclyde が公開している英国の家庭 20 軒のデータで、家全体と家電ごとの電力(W)が公称 8 秒間隔で記録されている。家電ごとの値は、IAM と呼ばれるプラグ型の計測器で測ったものだ。ライセンスは CC BY 4.0 で、本記事の表は当サイトがこのデータを集計・加工したものである。出典の表示は末尾の参照に書いた。
配布されている清掃済みの版では、欠けた値は直前の値で埋められ(配布ページの説明では、2 分を超える欠けは 0)、家電の 4000 W を超える瞬間的な値は 0 に置き換えられている。家電の列の名前は、配布元の README にある家電の一覧に従った。README で途中の変更が注記された列も、変更の前後を分けずに数えた。期間は 2013〜2015 年で、家ごとに始まりと終わりが違う。
電力量は、各行の電力に次の行までの秒数を掛けて足した。行の間隔は 8 秒ちょうどではないので、一律に 8 秒を掛けてはいない。次の行まで 120 秒を超える区間と、家電の合計が家全体を上回った印(Issues 列)が付いた行は数えない。データのある時間が 23 時間に満たない日は外し、日の区切りは英国の現地時刻にした。
電力量(kWh)= Σ(その行の電力 W × 次の行までの秒数)÷ 3,600,000
家全体の値は、太陽光の発電が混じる 3 軒(House 3・11・21)を除いた 17 軒で集計した。この 8 秒のデータから計算した値を基準にして、間引いた値がどれだけずれるかを見る。基準はあくまで「このデータから計算した値」であり、実際に消費した電力量の正しい値ではない。
間引き方は次の 2 通りで、間隔は 1 分・5 分・10 分・15 分・1 時間の 5 つとした。
| 間引き方 | 計算 | 当たる取り出し方 |
|---|---|---|
| 抜き取り | 区間の先頭の時刻にその時点の値(直前の行の値。120 秒より古ければ欠測)を取り、区間のあいだ続いたとみなす | その時点の電力(W)だけを返す機器を、一定の間隔で読みに行く |
| 区間の平均 | 区間の電力量 ÷ 区間の長さ | 区間の電力量や累計の電力量を返す機器、Home Assistant の長期統計(どちらも条件付き。結果3 と Home Assistant の節で書く) |
指標は 2 つ決めた。1 つ目は日の電力量のずれである。家と家電の列の組ごとに、日ごとのずれ(絶対値、%)の中央値を出した。基準の値が 0.05 kWh 未満の日は、割合が不安定になるので外した。家電の種類ごとの数字は、その種類に当たる列の中央値を、さらに中央値にしたものだ。
2 つ目は、短い時間しか動かない家電の見落としである。電気ケトルは 1500 W、電子レンジとトースターは 500 W を超える連続運転を 1 回の使用とし、60 秒以内の途切れはつないだ。抜き取りでは、使用のあいだにしきい値を超える点が 1 つも無ければ「見落とし」とした。区間の平均では、使用を含む区間の平均がどれもしきい値を超えなければ見落としとした。しきい値とつなぎ方は外部の基準ではなく、この実験で決めた定義である。
結果1 — 15分ごとの抜き取りでは、電気ケトルの使用の89.2%を見落とした

まず、使用 1 回の長さを見ておく。8 秒のデータで数えると、電気ケトルの使用 27,756 回の長さの中央値は 96 秒、電子レンジ 15,081 回は 104 秒、トースター 4,267 回は 134 秒だった。どれも 2 分前後で、15 分や 1 時間に比べてずっと短い。なお、20 軒すべてでこれらの使用が見つかったわけではない。使用が見つかったのは電気ケトルが 14 軒、電子レンジが 16 軒、トースターが 9 軒で、以下の見落としの割合はその軒数分の使用から出している。
| 抜き取りでの見落とし | 1 分 | 5 分 | 10 分 | 15 分 | 1 時間 |
|---|---|---|---|---|---|
| 電気ケトル(27,756 回、中央値 96 秒) | 15.1% | 68.4% | 84.1% | 89.2% | 97.4% |
| 電子レンジ(15,081 回、中央値 104 秒) | 18.5% | 64.8% | 80.7% | 87.0% | 96.6% |
| トースター(4,267 回、中央値 134 秒) | 7.4% | 55.8% | 77.0% | 84.5% | 96.2% |
15 分ごとの抜き取りでは、電気ケトルの使用の 89.2% で、しきい値を超える点が 1 つも記録に残らなかった。1 時間ごとなら 97.4% に達する。電子レンジは 15 分で 87.0%、トースターは 84.5% だった。つまり、15 分ごとにその時点の電力を読む取り出し方では、電気ケトルの使用の大半が、記録の上では電気ケトルを使っていない時間と区別できない。
この数字は、単純な見積もりとも近い。96 秒の使用が見つかるのは、抜き取る瞬間がその 96 秒の中に入ったときだけである。抜き取りの時刻と使用の始まりが無関係なら、15 分(900 秒)の間隔で見つかる割合はおよそ 96 ÷ 900 ≒ 10.7% で、見落としは 100% − 10.7% で約 89.3% になる。1 時間(3,600 秒)なら 96 ÷ 3,600 ≒ 2.7% で、見落としは 100% − 2.7% で約 97.3% だ。長さの中央値だけを入れた目安であり、実験の結果をこの式で説明できると確かめたわけではない。
それでも、間隔が使用の長さを大きく上回るときは、見落としの割合が「1 − 使用の長さ ÷ 間隔」に近づくと覚えておくと、製品の間隔を読むときの手がかりになる。96 秒で終わる使用を 15 分に 1 回の読み取りで見つけられる割合は、この式の上では 1 割ほどしかない。
気をつけたいのは 1 分の結果である。1 分ごとに抜き取っても、電気ケトルの 15.1%、電子レンジの 18.5% を見落とした。長さの中央値は 96 秒だが、使用の半分はそれ以下の長さで、60 秒より短い使用は 1 分の間隔をすり抜けうる。また、60 秒以内の途切れをつないだ使用では、抜き取った瞬間がちょうど途切れに当たることもある。ただ、この実行では見落とした使用の内訳を分けて数えていないので、どちらが多いかは言えない。
結果2 — 家全体の日の電力量は、抜き取りでも1分なら0.58%のずれ

| 抜き取りの間隔 | 日のずれの中央値(17 軒) | 最もずれた家の 95 パーセンタイル |
|---|---|---|
| 1 分 | 0.58% | 6.71% |
| 5 分 | 2.3% | 11.1% |
| 10 分 | 3.98% | 19.51% |
| 15 分 | 5.22% | 30.45% |
| 1 時間 | 11.94% | 74.0% |
家全体の電力量は、17 軒・7,211 日で見た。「日のずれの中央値」は、家ごとに日ごとのずれの中央値を出し、17 軒の値の中央値をさらに取ったものだ。抜き取りでも 1 分ごとなら中央値で 0.58%、15 分ごとで 5.22%、1 時間ごとで 11.94% になった。
もっとも、中央値だけでは日ごとのばらつきが見えない。家ごとに日のずれの 95 パーセンタイルを出し、17 軒の中の最大を取ると、1 時間では 74.0% だった。最もずれの大きい家では、5% の日でその日の電力量が 74.0% 以上ずれたことになる。15 分でも 30.45% である。家全体を 1 時間ごとに抜き取った値で日の電力量を出すと、中央値では 1 割ほどのずれでも、日によっては大きく外れる。
家電の種類ごとに分けると、違いがはっきりする。
| 家電の種類 | 1 分 | 5 分 | 10 分 | 15 分 | 1 時間 |
|---|---|---|---|---|---|
| 冷蔵庫 | 0.365% | 1.6% | 2.81% | 4.125% | 15.85% |
| 冷凍庫 | 0.32% | 1.43% | 2.39% | 3.37% | 12.36% |
| パソコン | 0.28% | 0.81% | 1.19% | 1.44% | 5.32% |
| 洗濯機 | 2.58% | 9.72% | 17.29% | 21.155% | 84.435% |
| 食器洗い機 | 1.42% | 6.31% | 13.43% | 16.45% | 89.6% |
| 乾燥機 | 3.18% | 9.57% | 14.31% | 18.03% | 66.3% |
| 電気の暖房器具 | 0.935% | 4.835% | 10.955% | 13.96% | 47.925% |
| 電気ケトル | 7.97% | 40.51% | 96.3% | 100.0% | 100.0% |
| 電子レンジ | 6.74% | 36.46% | 68.1% | 73.03% | 82.69% |
| トースター | 8.09% | 46.08% | 100.0% | 100.0% | 100.0% |
種類は列の名前で分け、冷凍冷蔵庫は冷蔵庫に入れた。パソコンには、README が複数の機器を含みうるとする「Computer Site」の列も入っている。テレビや洗濯乾燥機など、表に無い種類は省いている。
冷蔵庫・冷凍庫のように一日中動いている家電は、15 分の抜き取りでもずれが 3〜4% 台にとどまった。対照的に、洗濯機・食器洗い機・乾燥機は 1 時間の抜き取りで中央値 66.3〜89.6% のずれになった。運転中に電力が大きくなる時間が短いため、1 時間に 1 回の読み取りでは、その時間に当たるかどうかで日の電力量が大きく振れる。
電気ケトルとトースターは、15 分の抜き取りでずれの中央値が 100.0% になった。抜き取りで 1 回も使用に当たらなければ、その日の電力量はほぼ 0 と出て、ずれは 100% に近くなる。逆に当たった日は、その値が 15 分続いたとみなすので多めに出る。いずれにせよ、短い家電の日の電力量は、粗い抜き取りではほとんど当てられない。
なお、REFIT の家の主な暖房はガスのセントラルヒーティングだと論文は書いている。電気の暖房器具の行は、電気で家を暖める家庭の目安にはならない。
結果3 — 区間の平均なら日の電力量は合うが、いつ使ったかは読めない

区間の平均で間引いた場合、日の電力量は間隔によらず 8 秒のデータと同じになる。区間の電力量をそのまま区間の長さで割っているので、足し戻せば元に戻るからだ。これは計算の性質であって、実験で確かめた結果ではない。機器に当てはめるときは条件が付く。区間の電力量を返す機器なら、どの区間の値も欠けずに受け取れていて、区間の区切りが日の区切りとそろっていること。累計の電力量を返す機器なら、日の区切りの時刻の値が取れていて、途中で 0 に戻らないこと(0 に戻る値の扱いは Home Assistant の節で書く)。この条件が満たされていれば、受け取る間隔は 1 時間でも 1 日でもかまわない。
ところが、短い家電の使用は見えにくくなる。
| 区間の平均での見落とし | 1 分 | 5 分 | 10 分 | 15 分 | 1 時間 |
|---|---|---|---|---|---|
| 電気ケトル | 23.9% | 95.6% | 99.9% | 99.9% | 100.0% |
| 電子レンジ | 17.1% | 59.3% | 80.4% | 86.8% | 95.7% |
| トースター | 9.2% | 75.2% | 93.9% | 97.8% | 100.0% |
15 分の平均では、電気ケトルを使った区間でも平均が 1500 W を超えることはほぼ無く、見落としは 99.9% だった。96 秒前後の使用の電力量を 15 分で割れば、平均は大きく薄まる。電力量は正しく残っていても、その数字から「いつ電気ケトルを使ったか」は、この定義では読み取れない。
電気ケトルでは、1 分の平均の見落とし(23.9%)が、1 分の抜き取り(15.1%)より多い点も目を引く(トースターも 9.2% と 7.4% で同じ向きだが、電子レンジは 17.1% と 18.5% で逆だった)。平均の性質として、使用が 2 つの区間にまたがると電力量が 2 つに分かれ、どちらの平均もしきい値に届かないことがある。ただし、この実行で見落とした使用のうちどれだけがそれに当たるかは数えていない。平均は電力量を保つ代わりに、短い使用の電力の高さを薄める。
なお、この見落としはこの記事で決めた判定(区間の平均がしきい値を超えるか)による。電気ケトルだけをつないだプラグなら、区間の電力量が増えたことから使った区間を見つける決め方もありうる。その場合でも、同じ区間に入った複数の使用は 1 つに見える。電気ケトルの使用 27,756 回に対して、使用が始まった区間の数は 15 分で 25,881、1 時間で 22,258 だった。電子レンジは 15,081 回に対して、15 分で 12,159、1 時間で 10,271 である。この実行では、15 分と 1 時間のどちらでも、使用が始まった区間の数は 8 秒のデータで数えた使用の回数より少なかった。ただし、区間の境目をまたいだ使用は前後 2 つの区間に電力量を残すので、電力量が増えた区間を数えると、この数より多くなる。
スマートプラグ2製品とワットチェッカー1製品の取り出し方を、公式資料で比べる

ここからは製品の側を見る。どの製品も買って測ってはいない。以下は 2026-10-26 時点の公式資料(製品ページ・FAQ・API の文書・Home Assistant の文書)に書かれていることだけを並べたもので、資料に無いことは「未確認」とした。3 製品とも日本向けの正規品である。
| 取り出し方 | SwitchBot プラグミニ(JP) | Tapo P110M | RS-BTWATTCH2 |
|---|---|---|---|
| 価格(2026-10-26、公式) | ¥1,980(税込、値引き前価格) | ¥1,600(税込、セール価格、1 パック) | ¥6,800(税別、標準価格。製品ページは「出荷完了」) |
| 接続 | Wi-Fi 2.4 GHz と Bluetooth | Wi-Fi 2.4 GHz(設定に Bluetooth) | Bluetooth 5.0 |
| 機器から受け取れる項目 | API: 電圧・電流(mA)・weight・1 日の使用時間(分)。電力量の項目は無い | Home Assistant の統合: 電力と、今日・今月の電力量(統合のコード上の定義で、機器では未確認。累計は返さない) | 電力・電圧・電流・電力量・経過時間 |
| アプリで見られる最小の間隔 | 「リアルタイム」とだけ書かれ、間隔は未確認 | Tapo の FAQ では、現在の電力 5 秒、電力のグラフ 5 分(過去 24 時間)、電力量のグラフ 1 時間(過去 7 日) | 電力・電圧・電流 1 秒、電力量 1 分 |
| アプリの書き出し | 「エクスポートも可能」(形式・粒度は未確認) | FAQ に Export の記載(形式・粒度は未確認) | CSV の電力量(Wh): 1 分(約 1 日分)・1 時間(約 2 か月分)・1 日(約 50 か月分)。1 秒の値はリアルタイム表示中だけ |
| クラウド API | API v1.1、1 日 10,000 回まで | 公式の公開 API は今回確かめていない | なし(Bluetooth で接続) |
| Home Assistant(手元) | SwitchBot Bluetooth 統合(Local Push、電力 W) | TP-Link Smart Home 統合(Local Polling、5 秒ごと、認証に TP-Link のクラウドの ID が要る) | 公式統合は確認できなかった |
| Home Assistant(クラウド経由) | SwitchBot Cloud 統合(10 分ごと、weight を W として読む) | — | — |
| Matter | 製品ページに記載なし | 対応(日本版が Matter で電力を出すかは未確認) | 記載なし |
| 精度の公表 | 見つからなかった | 見つからなかった | ±1%(10〜1500 W)、±2%(1〜10 W) |
| 定格 | 1500 W、15 A(最大) | 最大負荷 1500 W、15 A | 100 V、15 A、2P |
Shelly の製品も候補として調べたが、日本向けの正規販売を確認できなかったため本記事では扱わない。日本で使えないと言っているのではなく、今回読んだ公式資料からは日本向けの資料が見当たらなかったということだ。
SwitchBot プラグミニ(JP) — 同じ製品でも、取り出し方で間隔が変わる
SwitchBot プラグミニ(JP)は、公式サイトの値引き前価格が ¥1,980(税込、2026-10-26 時点)で、カートに入れると割引価格が表示されることがある。定格電力は 1500 W、電流は最大 15 A で、2.4 GHz の Wi-Fi と Bluetooth Low Energy の両方を持つ。公式ページは、アプリで電気使用量をリアルタイムに確認でき、過去の消費電力の確認とデータのエクスポートもできると書く。ただし、エクスポートの形式や粒度、何日分が残るかは公式ページに無い。取扱説明書も画像だけの PDF で、文字を読み取れなかった。
この製品は、間隔が製品ではなく取り出し方で決まることをよく表している。Home Assistant での取り出し方は 2 つある。SwitchBot Bluetooth 統合は手元の push 型(IoT class は Local Push)の受け取り方で、統合が使うライブラリのコードを読むと、プラグが Bluetooth で発信する広告から電力(W)を読み取っている。こちらの間隔の数字は公式資料に無い。もう一方の SwitchBot Cloud 統合は、文書によれば 10 分(600 秒)ごとに SwitchBot のクラウドの API へ状態を問い合わせる。
クラウド経由の値をその時点の電力として扱うなら、結果1 の「10 分ごとの抜き取り」に当たり、電気ケトルの使用の 84.1% を見落とした条件と同じ間隔になる。同じプラグでも、Bluetooth で手元に受けるか、クラウドに問い合わせるかで、記録の細かさが変わるということだ。
API にも注意点がある。SwitchBot API v1.1 の文書では、プラグミニ(JP)の状態として電圧(V)・電流(mA)・weight・electricityOfDay(1 日に使った時間、分)が取れる。このうち weight を、SwitchBot の文書は「1 日に消費した電力、単位はワット」と説明し、Home Assistant の SwitchBot Cloud 統合はその時点の電力(W)として扱っている。2 つの公式資料の説明が食い違っており、どちらが正しいかはここでは決めない。比べると、日本では売られていない EU 版の文書は、その時点の電力と 1 日の電力量を別の項目に分けて書いている。
いずれにせよ、JP 版の文書には電力量(Wh・kWh)の項目が無い。API や Bluetooth から受け取れるのは電力(W)なので、Home Assistant で日の電力量を出すには、後で書く積分のヘルパーが要る。なお、日本で売られている別の「Plug」(SP11)は、API の状態に電力の項目が無い。SwitchBot のプラグなら電力が取れる、とは一般化できない。
API の呼び出しは 1 日 10,000 回までで、超えると「Unauthorized」が返る。仮に 8 秒ごとに呼ぶと、86,400 ÷ 8 = 10,800 回(計算)で上限を超える。Home Assistant の SwitchBot Cloud 統合の 10 分ごとなら、86,400 ÷ 600 = 144 回(計算)である。上限は利用者ごとの回数だと Home Assistant の文書は書いているので、プラグを何台も読めば、その分だけ回数を使う。クラウドから細かい間隔で電力を取り続ける使い方は、この上限とぶつかる。
Tapo P110M — Home Assistant の統合が5秒ごとに読みに行く
Tapo P110M は、日本の公式ストア(Tapo Store)で 1 パック ¥1,600(税込、セール価格、2026-10-26 時点)だった。日本法人の製品名は「電力モニタリング機能付き ミニスマートWi-Fiプラグ」で、最大負荷は 1500 W・15 A、無線は 2.4 GHz の Wi-Fi だけ(Bluetooth は設定のときに使う)。Matter に対応すると日本法人のページに書かれている。
Home Assistant の TP-Link Smart Home 統合の文書(2026.10 時点)は、P110M を対応機種に挙げ、機器を 5 秒ごとに読みに行くと書く。この 5 秒は Home Assistant の統合が P110M を読みに行く間隔で、プラグの中で電力を見る間隔とは別のものだ(プラグの側の間隔は、下の Tapo の FAQ の段で書く)。データは TP-Link のクラウドを通らずに手元でやり取りするが、新しい Tapo の機器では、手元で接続するための認証に TP-Link のクラウドの ID とパスワードが要る。ファームウェアによっては、サードパーティとの連携を明示的に有効にする必要もある。
電力量については、同じ文書が「Tapo の機器は累計の電力量を返さない」と書いている。一方で、統合のソースコードのセンサーの定義には、その時点の電力のほか、今日の電力量と今月の電力量がある(コードを読んだ結果で、P110M が実際にどのセンサーを返すかは機器で確かめていない)。今日・今月の電力量が取れるなら、それは機器の側の電力量を読む取り出し方で、Home Assistant が W を積分して作る値とは別のものだ。ただし、日や月が変わると 0 に戻る値で、機器がどの時刻で日を区切るかは確かめていない。Home Assistant に取り込んだときに、0 に戻る直前の増分を取りこぼしうる点は、後の Home Assistant の節で書く。5 秒ごとの電力は、この実験で試した最も短い 1 分よりさらに短い間隔の抜き取りに当たる。
アプリ側の間隔は、Tapo の FAQ に書かれている。FAQ によれば、現在の電力は 5 秒ごとに更新される。電力のグラフは過去 24 時間を最小 5 分の間隔、過去 7 日を最小 1 時間の間隔で表示し、電力量のグラフは過去 7 日を最小 1 時間、過去 3 か月を最小 1 日、過去 12 か月を最小 1 か月の間隔で表示する。電力量のデータを書き出す機能もあるが、形式と粒度は FAQ に無い。また、電力保護(設定した電力を超えたら自動で切る機能)の説明には「プラグは 5 秒ごとに電力を監視する」とある。ただし、この 5 秒が記録やグラフに使う値と同じ間隔かは書かれていない。
ただし、この FAQ は本文で P110 と P115 を例に挙げ、対象製品は FAQ の機能への対応を約束しないとも書いている。ページの対象製品に P110M は入っているが、ここに書いた間隔は「Tapo の FAQ では」と読んでほしい。電力のグラフの 5 分の点が区間の平均なのか抜き取りなのかも書かれていないので、結果1 と結果3 のどちらに当たるかは言えない。
Matter については、日本向けの P110M が Matter 経由で電力を出すかを、今回読んだ日本の公式資料では確かめられなかった。そのため、Matter で受け取ったときの間隔は比べていない。
RS-BTWATTCH2 — 書き出しの粒度を公式の表で示したワットチェッカー
ラトックシステムの RS-BTWATTCH2 は、スマートプラグではなく「Bluetooth ワットチェッカー」という電力計である。アプリから電源の入り切りもできる。標準価格は ¥6,800(税別、2026-10-26 時点の公式ページ)で、税込にすると ¥6,800 × 1.10 = ¥7,480(計算)になる。販売店での実際の価格は確かめていない。また、同じ製品ページでは型番に「出荷完了」の表示が付いており、新しく入手できるかは流通在庫の確認が要る(今回は確かめていない)。国内仕様の製品で、定格は 100 V・15 A、プラグは 2P、Bluetooth 5.0 で接続する。本体自身の消費電力は 0.7 W と書かれている。
測れる項目は、電力・電圧・電流・電力量・計測の経過時間の 5 つだ。アプリのリアルタイム表示では、電力・電圧・電流が 1 秒ごと、電力量が 1 分ごとに更新される。比べた 3 製品の中で、書き出しの粒度と CSV の列を公式に表で示していたのは、今回読んだ資料では RS-BTWATTCH2 だった。
| グラフ | 記録の間隔 | 保存できる期間(CSV に書き出せる) |
|---|---|---|
| 1 時間グラフ | 1 分 | 約 1 日分 |
| 1 日グラフ | 1 時間 | 約 2 か月分 |
| 1 か月グラフ | 1 日 | 約 50 か月分 |
この表の累積データの CSV の中身は電力量(Wh)で、電力(W)の列は無い。メーカーの FAQ によれば、1 分の記録は 60 秒を前半・後半の 30 秒に分けて平均の電力量を計算し、その結果を 1 分単位で記録したものだ。つまり、この表の書き出しは結果3 の「区間の平均」に当たる取り出し方である。ただし同じ FAQ は、接続や切断などで前半・後半のどちらかのデータが抜けると、その 1 分のデータが記録されない場合があると書く。日や月の電力量が間隔によらず合うのは、記録が欠けなかった場合である。一方で、1 分の電力量に「区間の平均がしきい値を超えるか」の判定を当てると、電気ケトルの使用の 23.9% を見落としたのが結果3 の数字だった。
もう 1 つ注意したいのは保存の期間だ。1 分の記録は約 1 日分しか残らないので、1 分の粒度で長く残したいなら、およそ 1 日ごとに書き出す必要がある。1 時間の記録なら約 2 か月分が残る。さらに 1 秒の値は本体に保存されず、アプリでリアルタイムのグラフを表示している間だけ CSV に書き出せる(スマホには 24 時間分が保持される)。この CSV には、FAQ によれば秒までの時刻とともに電力(W)・電圧(V)・電流(mA)が並ぶ。公称 8 秒の REFIT より細かい値を得られる取り出し方だが、アプリを表示し続ける必要がある。
精度は、10〜1500 W で ±1%、1〜10 W で ±2% と公式に書かれている。0.999 W 以下は参考値で、0.499 W 以下は 0.000 W と記録される。今回読んだ公式資料で精度を数値で示していたのは、3 製品のうち RS-BTWATTCH2 だけだった。
Home Assistant については、公式の統合を検索では見つけられなかった。対応していないと断定はしない。法人の利用者には、電力データを読むための Bluetooth の広告(ビーコン)の情報を法人向けサイトで無償提供している、と製品ページにある。なお、同じ会社の Wi-Fi 版 RS-WFWATTCH2 は 3P のコンセント向けの製品なので、比べる対象から外した。
比べた中でいちばん安いのが SwitchBot プラグミニ(JP)だ。同じプラグでも、Home Assistant の Bluetooth 統合で手元に受けるか、クラウド経由で 10 分ごとに読むかで、記録の細かさが変わる。
Home Assistant で受け取ると、何がどの間隔で残るか(2026.10 時点)

スマートプラグの値を Home Assistant に集めると、どこまで細かく残るかには、統合が値を受け取る間隔に加えて、Home Assistant の記録の仕組みが効く。以下は 2026.10 時点(文書は 2026.10.4)の内容である。Home Assistant 2026.11 は、開発のカレンダーでは 2026-11-04 に公開される予定で、そこで変わる可能性がある。導入そのものは Home Assistant で水やりを知らせて自動化する — 通知からポンプ制御まで(2026-10-08 公開) で扱った。
Home Assistant のセンサーには、電力のセンサーと電力量のセンサーがある。Energy ダッシュボードに家電ごとの電力量として入るのは、device class が energy で state class が total か total_increasing のセンサーだ。電力(W)しか返さない機器は、Integral(リーマン和の積分)のヘルパーで電力量に直してから入れる。このヘルパーの文書は、元の値の更新が多いほど積分は正確になると書いており、結果2 の数字と同じ向きである。電力のセンサー(state class が measurement)も、電力の入力としてダッシュボードに置ける。
記録の残り方は 3 段になっている。
- 状態(生の値): 既定で 10 日残る。期間は purge_keep_days で変えられる
- 短期の統計: 5 分ごとに集計し、状態と一緒に消える
- 長期の統計: 1 時間ごとに集計し、自動では消えない。電力(measurement)は平均・最小・最大、電力量(total)は合計が残る
つまり既定の設定では、10 日を過ぎると電力の値は 1 時間ごとの平均・最小・最大だけになる。1 時間の中で電気ケトルを何回使ったかは、既定の記録からは数え直せない。ただし最大値は残るので、その 1 時間に大きな電力が流れたことは後からも分かる。細かい記録を長く残したいなら、保存の日数を延ばせばよい。
一方、電力量のセンサーの長期統計には 1 時間ごとに合計(sum)が残る。この合計は、Home Assistant が受け取った値から作る累積である。開発者向けの文書によれば、state class が total のセンサーでは新しい値と前の値の差だけ合計が増え、total_increasing のセンサーでは値が下がると新しい周期として 0 から数え直す。そのため、結果3 の「区間の平均 1 時間」のように電力量が保たれるのは、元のセンサーの値が正しく、取りこぼしが無い場合に限られる。元の値の出どころで分けると、次のようになる。
- 機器の側で数えた電力量を読む場合(Tapo の今日・今月の電力量など): 合計は受け取った値どうしの差から作られる。日や月の区切りで 0 に戻る値では、0 に戻る直前に受け取った値から、0 に戻る瞬間までに増えた分が合計に入らない。取得の間隔が長いほど、この取りこぼしは大きくなりうる(文書の例から導いたことで、文書に書かれた数字ではない)
- 電力(W)を Integral で積分した場合: 合計は積分の値から作られる。Integral の文書は、リーマン和は有限の和による近似なので本質的に不正確だと書いている。積分の段階で生じたずれは、長期統計の合計にもそのまま残る。結果2 の抜き取りのずれは、こちらの場合に当たる
どちらの場合も、いつ使ったかは 1 時間の粒度までしか分からない。
最近の版の変更も挙げておく。2026.9 では、Energy ダッシュボードが個別の機器を、エンティティの名前だけでなく機器の名前で表示するようになった。2026.10 では、電力を測る Matter の機器が周波数と力率も報告するようになった。これは Matter 統合の変更で、TP-Link 統合や SwitchBot 統合の変更ではない。
Matter そのものについては、Matter 1.3(2024 年 5 月発表)で、電力・電圧・電流などのその時点の値と、時間を通した電力量を報告する仕組みが仕様に入った。参照実装では Electrical Power Measurement と Electrical Energy Measurement という 2 つのクラスターに当たる。ただし、仕様に入ったことと、どの機器も電力を出すことは別の話である。
Home Assistant はラズベリー・パイでも動かせる。ラズパイ本体の準備から始めるなら、入門書が1冊あると迷わない。
何を知りたいかで、取り出し方と間隔を選ぶ

ここまでの結果を、知りたいことごとにまとめる。間隔の数字は、REFIT(英国の家庭、2013〜2015 年)を間引いたこの実行の結果である。
| 知りたいこと | 向いている取り出し方 | この実行の結果からの目安 |
|---|---|---|
| 月や日の電力量(電気代の見当) | 区間の電力量・累計の電力量を受け取る | 区間の平均では日の電力量は間隔によらず変わらない。値が欠けず、0 に戻る直前の増分を取りこぼさなければ、1 時間や 1 日の間隔でよい |
| その時点の電力しか取れない機器で、日の電力量を出す | 短い間隔で抜き取って積分する | 家全体のずれの中央値は 1 分 0.58%、15 分 5.22%、1 時間 11.94% |
| 冷蔵庫など一日中動く家電の日の電力量 | どちらでもよいが、抜き取りなら間隔を短く | 冷蔵庫は 15 分の抜き取りで 4.125%、1 時間では 15.85% |
| 洗濯機・食器洗い機の日の電力量 | 区間の電力量か、短い間隔の抜き取り | 1 時間の抜き取りでは 84.435%・89.6% のずれ |
| 電気ケトル・電子レンジをいつ・何回使ったか | その時点の電力を 1 分より短い間隔で | 1 分の抜き取りでも電気ケトルの 15.1% を見落とした。1 分より短い間隔はこの実験で試していない |
月の電気代の見当をつけたいだけなら、間隔の細かさはほとんど気にしなくてよい。機器が電力量を返す取り出し方を選べば、値が欠けず、0 に戻る直前の増分を取りこぼさない限り、1 時間や 1 日の記録でも合計は合う。W を Integral で積分した電力量はこれとは別で、積分の段階のずれが残る。電力量に単価を掛ければ電気代になり、単価の取り方は 家電の電気代と故障に AI で向き合う — 冬の前に測る・直す・作るをそろえる理由と、EU の修理する権利で変わったこと(2026-11-02 公開) で扱っている。
反対に、いつ何を使ったかを知りたいなら、記録の間隔が使用の長さより十分に短い必要がある。2 分ほどで終わる電気ケトルや電子レンジでは、1 分の抜き取りでも見落としが残った。その時点の電力を秒単位で受け取れる取り出し方(Home Assistant が 5 秒ごとに読む統合や、RS-BTWATTCH2 のリアルタイム表示の書き出し)が候補になるが、どこまで短ければ足りるかは、この実験からは言えない。
記録したログを AI に読ませて集計させるなら、何を渡すかで答えが変わる。1 時間ごとの表と生のログを渡した比較は 家電ごとの電力ログを AI に読ませる — 生のログ・1時間の表・コードの実行で、答えの正しさはどう変わるか(2026-11-03 公開) にある。本記事の結果に照らせば、1 時間の表は電力量を見るには足りるが、電気ケトルを使った回数を問うには粗すぎる。
買う前に確かめることを 4 つに絞ると、次のようになる。
- 知りたいのは電力量か、使った時刻と回数か
- 使う取り出し方で受け取れるのは電力(W)か、電力量(Wh)か
- その取り出し方の間隔(アプリ・手元の統合・クラウド)は何秒か、何分か
- その間隔の記録は何日分残り、どこへ書き出せるか
家電の消費電力をワットチェッカーで実測する考え方は 3Dプリントの原価を日本の電気代で計算し直す — 値付けの根拠を作る(2026-08-19 公開) でも書いた。本記事が足すのは、測った値を何の形で、どの間隔で書き出すかという点だ。
なお、比べた 3 製品は、どれも公式資料で 1500 W までとしている。1500 W を超える家電はつながない。本記事が扱うのはコンセントに挿す機器の範囲で、配線には触れない。
電気ケトルのように短く動く家電まで見たいなら、Home Assistant の統合が 5 秒ごとに読みに行く Tapo P110M が候補になる。ただし、1 分より短い間隔で見落としがどこまで減るかは、この記事では確かめていない。
この実験で言えないこと

- 製品では測っていない。REFIT の公称 8 秒のデータを間引いて「その間隔で読んだらこう見える」を計算した。製品の中で何秒ごとに測っているかは、SwitchBot プラグミニ(JP)では公式資料に無い。Tapo の FAQ には「5 秒ごとに監視」とあるが、記録やグラフの値がそれをどう集計したものかは書かれておらず、グラフの 5 分の点が平均か抜き取りかも公式資料に無い。RS-BTWATTCH2 は、製品ページに「1 秒ごとの計測データ」とあり、FAQ が 1 分の記録の作り方(前半・後半の 30 秒ごとに平均の電力量を計算する)を書いている。それでも、製品の記録が 2 つの間引き方のどちらにどれだけ近いかは、機器で確かめていない
- データは英国の家庭、2013〜2015 年。家電の種類や使い方は日本の家庭と同じとは限らない。主な暖房はガスなので、電気で暖房する家の冬の電力量の目安にはならない
- 基準は 8 秒のデータから計算した値で、実際の消費の正しい値ではない。欠けた値は直前の値か 0 で埋められ、家電の 4000 W を超える値は 0 に置き換えられている
- 見落としの数字は、この記事で決めた定義による。しきい値(電気ケトル 1500 W、電子レンジとトースター 500 W)や途切れのつなぎ方(60 秒以内)を変えれば、数字も変わる
- 1 分より短い間隔は試していない。5 秒や 1 秒の取り出し方でどこまで見落としが減るかは、この実験の外にある
- 各条件 1 回の計算で、家・日・使用をまとめた中央値や割合である。特定の家や特定の日の値ではない
まとめ

スマートプラグの記録の細かさは、製品の名前よりも、どの取り出し方で値を受け取るかで決まる。同じ SwitchBot プラグミニ(JP)でも、Home Assistant の Bluetooth 統合で手元に受けるか、Cloud 統合で 10 分ごとに問い合わせるかで、記録の間隔が変わる。Tapo P110M の「5 秒」にも出どころが 3 つある。Home Assistant の統合が読みに行く間隔、Tapo の FAQ に書かれたアプリの表示の更新、同じ FAQ の電力保護の説明にある「5 秒ごとに監視」だ。後の 2 つは、FAQ が P110M への対応を約束しておらず、記録やグラフの値の間隔として書かれたものでもない。
英国の家庭 20 軒の公称 8 秒のデータを間引いたこの実行では、その時点の電力を 15 分ごとに抜き取ると、電気ケトルの使用(14 軒分)の 89.2% を見落とした。家全体の日の電力量のずれは、中央値で 1 分 0.58%、15 分 5.22%、1 時間 11.94% だった。区間の電力量で受け取れば日の電力量は変わらないが、15 分の平均からは電気ケトルを使った時刻が読めない。
電気代を知りたいなら、機器が電力量を返す取り出し方を選べば、値の欠けと 0 に戻る直前の取りこぼしに気をつける限り、間隔は粗くてよい。何をいつ使ったかを知りたいなら、使用の長さより十分に短い間隔で電力を受け取れる取り出し方を選び、その記録が何日残るかまで確かめる。買う前に見るべきなのは、製品の価格表よりも、書き出しの仕様のほうである。
参照
- REFIT: Electrical Load Measurements (Cleaned)(University of Strathclyde。作成: David Murray、監修: Lina Stankovic・Vladimir Stankovic、DOI 10.15129/9ab14b0e-19ac-4279-938f-27f643078cec、CC BY 4.0。本記事の表は当サイトが 20 軒分を集計・加工したもの)
- Murray, D., Stankovic, L. & Stankovic, V. An electrical load measurements dataset of United Kingdom households from a two-year longitudinal study. Scientific Data 4, 160122 (2017)
- Creative Commons Attribution 4.0 International(CC BY 4.0)
- Home Assistant「TP-Link Smart Home」
- Home Assistant「SwitchBot Bluetooth」
- Home Assistant「SwitchBot Cloud」
- Home Assistant「Matter」
- Home Assistant「Home energy management」
- Home Assistant「Integrating individual device energy usage」
- Home Assistant「Frequently Asked Questions about home energy management」
- Home Assistant「Integral」
- Home Assistant「Recorder」
- Home Assistant 開発者向け「Statistics」
- Home Assistant 開発者向け「Sensor entity」
- Home Assistant 2026.9 のリリースノート
- Home Assistant 2026.10 のリリースノート
- Home Assistant 開発のイベントカレンダー
- home-assistant/core の tplink 統合の sensor.py(2026.10.4)
- home-assistant/core の switchbot_cloud 統合の sensor.py(2026.10.4)
- SwitchBot API v1.1 の README
- SwitchBot API の Plug Mini (JP) の文書
- SwitchBot 公式サイト「SwitchBot プラグミニ(JP)」
- ティーピーリンクジャパン「Tapo P110M」
- Tapo Store「Tapo P110M」
- TP-Link FAQ「Tapo Smart Plug Energy Monitoring: How to Use Every Feature」
- ラトックシステム「Bluetoothワットチェッカー RS-BTWATTCH2」
- ラトックシステム「Bluetoothワットチェッカー RS-BTWATTCH2(FAQ)」
- Shelly「Device Compliance」
- Connectivity Standards Alliance「Matter 1.3 Specification announced」

